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これまでの多国間経済連携協定と3極化の世界を振り返る(3)【近藤康男・TPPから見える風景】2024年3月21日

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※冒頭に、前回3月7日寄稿の「TPPから見える風景93」のP2の11行目「法治主義ならぬ放置主義」とすべきを「放置主義ならぬ放置主義」としたことを訂正したい旨お伝えしたい。(現在は修正済)

今回は、まずTPP離脱後初めて米国が主導した「インド太平洋経済枠組みIPEF」に触れたい。

曖昧な内容の一方、経済安保だけが突出するIPEF

IPEF(繁栄するインド太平洋経済枠組み)は2022年5月にバイデン米国大統領が訪日した際に、13カ国で立ち上げを宣言し、その後フィジ-が加わり、14カで現在も協議が進んでいる。その原型は、2022年2月に米政府が公表した「INDO PCIFIC STRATEGY OF THE UNITED STATES」(米国・インド太平洋戦略)と思われる。

2023年11月に「貿易分野」を除き「供給網」、「クリーンな経済」、「公正な経済」の3分野で合意と発表されたが、未だに「供給網協定」を除き公表されていないようだ。概要は公表されているが、最終文書での合意になっていないのだろう。

(1) IPEFは主導した米国そのものが壁となり、漂流している。

トランプ以前の連邦議会は、TPPへの復帰を主張していたが、共和党はトランプ党になってしまい、民主党もオバマ時代にTPPを議会に掛けることも出来ず、結局興味を失ってしまった。そして、貿易そのものを忌避する空気が支配的となっている。

(2) 新興国グループは関税・市場アクアセスを含まない貿易協定には消極姿勢だ。

(3) そして、公表された供給網協定を何度も読んだが、"協力"、"連携"という文言が目立つ一方、"経済安全保障"を想起する文言だけが強調されるという歪な協定となっている。

2023年11月に公表された"供給網協定"の日本語の正式名称は「サプライチェーンの強靭性に関する繁栄のためのインド太平洋経済枠組み協定」と実に長い。

条文に目を通すと、第10条「重要分野又は重要物品の特定」、第11条「サプライチェーンの脆弱性に対する監視及び対処」、第12条「サプライチェーン途絶への対応」ど、その内容は、既に公布済みの、日本の「経済安全保障推進法」(2022年5月公布)にピッタリ重なっている。2023年11月16日のIPEF首脳会議共同声明では経済安保の一環として「重要鉱物対話」が創設され、エネルギ-や技術等の分野での同様の枠組創設も今後予定されている(ジェトロビジネス短信2023年11月21日版)。

多国間経済連携協定から伺える地域主権・国民(市民)主権の制約

多国間経済連携協定において避けられない問題として、地域主権・国民(市民)主権の制約を指摘したい。特に、主権と地域に係る問題として、TPP12の二つの章について言及したい。CPTPPもその第1条において、"必用な変更を加えたうえでTPPを組み込む"としており、発効できなかったTPP12の章を事例に考えたい

(1)規制の整合性

TPPの第25章に「規制の整合性」の章がある。その2条の一般規定では、"国内政策の目的の達成、貿易・国際投資・経済成長・雇用などの促進のための規制の策定に置いて、共有できる"良い慣行"を目指す"ということが強く謳われている。直接的表現は無いものの、国や地域の主権に基づき、それぞれの特色、それぞれに異なる社会の枠組や発展の違いなどを反映した規制・制度ではなく、各国を共通の規制で制約しようという文脈が読み取れる。

(2)国有企業 

TPPの第17章「国有企業及び指定独占企業」に関する章(以下国有企業章)当該の章だだ。国有企業には、"天下り先"という面を否定できないものの、過度の経営主義を抑制して、地域における公的役割を果たすという、本来の機能・期待がある筈だ。

TPPの規定では、国有企業は、政府が株式の所有などを通じて支配している(基本は50%超)などの事業体とされ、①無差別待遇、②商業的考慮、③非商業的支援(の禁止)、④(外国の同業態の企業への)悪影響を与えることの排除、などが義務付けられている。

そして、2016年3月29日の政府答弁では、日本の国有(公営)企業は、「11社ある」とされていた。しかし、協定では今後協議の対象とされるとされていて対象企業は変化すると考えられる。会計検査院の調査資料に基づいての推察や、交渉参加国の資料から各国の実態を詳しく調べると、日本の場合、金融・運輸・医療・資源・その他多岐に渡っており、資本関係や業務内容から判断して、国・地方含め100社前後はある。そして、将来は多分民営化の方向に向かうと推測される。そして、天下り・経営不振(特に金融、中でも海外投融資分野)など多くの問題を抱えている。

その上で、最大の問題点は、参加各国では上記の制約の例外対象とされ、保護されるべき国有企業が付属書Ⅳに掲載されているが(ニュージーランド政府の公表資料)、日本だけは、そのリストは何処にも見当たらない(合意署名時点)。

国有(公有)企業は本来、公共性、特に地域を支える機能を持つべきものだ。鉄道では、最後に残っていたJR九州が2016年の株式上場で民営化された。そしてその一方で民営化後の地方のJRや民間の鉄道は赤字路線を抱えつつ、地域の疲弊により経営困難に陥り、廃線により地域の疲弊が更に促進されるという流れも続いている。

最も公営により取引に政治・恣意性が生じやすく、市場での自由な流通が支配する金融事業こそは民営化し、天下りと赤字体質から脱却すべきだし、公共性を持つ地域の鉄道などについては、地域の声を尊重しつつ、存続の可否、事業の立て直しを慎重に検討すべきだろう。

多国間経済連携から3極化の色彩を強める陣取り合戦/有志国・フレンドシェアリング・同

志国などへの流れと経済安全保障への傾斜

〇有志国:地域概念にとらわれない、意思と能力に基づく連携で、直近ではガザ侵略により派生した、紅海での米英主導の共同軍事行動

〇フレンドシェアリング:(経済面では)海外移転・投資(オフショアリング)、国内回帰(リショアリング)とは異なり、重要・希少資源などの供給網などを友好国と共同で構築すること

しかし、結局は、経済の相互依存関係が深まる中で、規制の有効性は低下し、一方で経済原理による規制回避の手法も巧みになっている。米国が輸出入管理を強化しても、メキシコ経由での中国による実質的な対米輸出は増加している。

最後に、唐突かも知れないが、未だに強く残る違和感を挙げたい

10数年間の活動で頭にこびりついている三つの条項がある。

一つは、昨年2023年5月11日付の「TPPから見える風景85」において触れた、2016年2月4日に合意したTPP12の合意文書の1つ、「保険等の非関税障壁に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡」の「3.規制改革」において書かれている、規制改革会議への万能とも言える権能付与、もう一つは、2019年10月7日に合意署名された「日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定」の付属書Ⅰの第B節「日本国の関税に係る約束」に記載された、米国産輸入農産物について将来米国が特恵的待遇を求めることを受け入れる日本の約束だ。一方の米国側の規定では日本の自動車・自動車部品について単に"更に協議/交渉する"とあるだけで、片務性を否定できない。

そしてもう一つは、上述済みの国有企業に係る一貫性を欠いた実態だ。日本だけが、地域で必要な国有企業などを含め、様々な制約の適用除外を求めていない。

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