企業・団体献金は反民主的【森島 賢・正義派の農政論】2025年3月13日
日本は、憲法の前文を引き合いに出すまでもなく、主権在民の国である。つまり、主権は国民しか持っていない。だが多くの政党は、企業・団体にも主権があるように曲解し、主張している。そうして、企業・団体の政治献金を是認し、企業・団体の政治に対する影響力を肯定している。
ここで、あらためて企業・団体献金の問題について、視野を広げて、日本国の民主主義の視点から考えてみよう。献金の賄賂性というような法律論としてではなく、幅広く、政治論として考えてみよう。
日本は、いうまでもなく主権在民の民主主義国である。主権は、国民に在る。
主権とは何か。それは、国家の意志を決定する権利である。それが、日本では国民に在る。これは、国民だけが持っていて、国民以外に主権を持っている者は、いないことを意味している。もちろん、企業・団体に主権はない。
このことは、国政選挙のときに誰もが分かる。選挙権を持っているのは国民だけである。企業も団体も選挙権を持っていない。
いま、企業・団体献金の問題が、政争の焦点になっているが、各政党のこの点についての認識が曖昧である。曖昧なままで、無用な論争を続けている。
企業・団体献金問題について、国会では特別委員会を作って、10日からようやく審議を始めた。
はじめに各政党の主張を見てみよう。下の図がそれである。
・ 企業・団体献金に対する各党の意見
・ 衆議院の政治改革に関する特別委員会(3.10)より
・ 自民 禁止より公開
・ 公明 規制強化
・ 国民 規制強化
・ 立憲 禁止
・ 維新 禁止
・ れいわ 禁止
・ 共産 禁止
・ 有志 禁止
この図から分かることは、つぎの通りである。
・ 国民を除く野党の一致した「禁止」
・ 自民の孤立
・ 公明の自民からの離間と、国民の自民への接近
◇
ここで指摘したいことは、審議を始めるのが、あまりにも遅かった、という点である。
それに加えて、それよりも重大なこととして指摘したいことは、3月中に結論をだす、という点である。長引くと不利だから、早く幕を閉じたい、という自民の思惑だろう。
だが、この問題は、積年の宿痾である。だから、短い審議期間にし、絆創膏を貼って当面の痛みを取る、という弥縫策ではいけない。審議期間を長くして徹底的に審議し、膿を出し切って、根治すべきではないか。
せめて、3か月後の参院選まで続けて、国民の審判を仰ぐべきではないか。これは、3か月後の参院選の重要な争点になるだろう。しなければならない。その後に、法改正を行えばいい。
◇
最後になるが、もう1つ指摘したいことがある。それは、個人献金ならいいのか、という点である。
これは、主権は各国民が平等に持っている、という点にかかわる。
献金額の多い国民のほうが、献金額の少ない国民よりも大きな影響力を持つようになってはならない。主権が不平等になるからである。市場主義にならされた頭脳では、無意識にせよ、それを見逃すだろう。
ここは、大きな工夫を考えなばならない。
(2025.03.13)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日