切り花価格の高騰で消費者は買い控え【花づくりの現場から 宇田明】第65回2025年7月31日
参議院選挙の大きな争点は「物価高騰」でした。
なにもかもが値上げ、値上げで庶民の暮らしは火の車。
とくに農産物の値上げは、日々の食卓を直撃し、家計への負担感は深刻です。
切り花の市場価格も上昇しており、小売価格も花屋の価格転嫁で高くなっています。
では、切り花の値上げに、消費者はどんな反応をしているのでしょうか?
切り花価格が高騰したのは、コロナ禍で一時的に落ち込んでいた需要、とくに結婚式やイベントなどの業務需要がすこし回復した一方で、供給が減り続けているからです。
切り花の国内生産は、生産者の高齢化とリタイアによる減少、さらにほかの品目への転作が進んだことなどにより縮小。
加えて、温暖化の影響で猛暑がつづき、生育不良により収量も落ち込んでいます。
これまで国産の減少を補っていた輸入も、円安や国際状況の変化などにより増えていません。
その結果、需要と供給のバランスが崩れ、「品薄単価高」の状態が続いています。

図は、東京都中央卸売市場花き部6市場の、輸入を含む切り花の平均単価の推移です(青縦棒)。
2019年は67円(税込、以下同じ)、2020年は66円でしたが、2021年には71円、2022年以降は80円台と、過去に例を見ない高単価。
20年以上わずかしか上がらなかった切り花の価格が、ここ数年で一挙に高騰しました。
生産者は、暖房用燃油、農薬、肥料、輸送費などのコストが上昇しており、市場価格が多少上がっても焼け石に水の状態。
花屋も仕入れコストの上昇により、価格転嫁せざるを得ません。
では、消費者は?
花はコメのように生活必需品ではありません。
MPSジャパン(株)の調査によると、過去1年間1度も切り花を買っていない、あるいは今まで1度も買ったことがない人が6割以上もいます。
これら花に関心がない人たちは、値上げも値下げも関係がありません。
一方、花を買う習慣がある人たちは、どう対処したのでしょうか?
年間の購入回数を減らしました。
図の赤折れ線が購入回数の推移。
平均単価が67円だった2019年には年間8.8回切り花を購入していましたが、84円に上昇した2024年には7.2回に減っています。
消費者の財布のひもが堅くなったのです。
物価上昇にベースアップが追いつかない現役世代や、年金生活のニア世代には、「節約」しか対処法はなかったのでしょう。
「節約は美徳」は健在です。
では、具体的にどの世代が購入を控えたのでしょうか?
先に示した図は、二人以上世帯の平均ですが、購入回数をもっとも減らしているのは40歳代・50歳代の現役世代。
子育てや住宅ローン返済など家計のやりくりが厳しく、不要不急の切り花を後回しにせざるを得なかったと考えられます。
幸いなことに、花の消費を支える60歳代、70歳以上のシニア世代の減少は比較的小幅にとどまっています。
これらのことから、現役世代の財布のひもは堅く、シニア世代の財布のひもは相対的に緩いということができます。
そのため、花の消費をV字回復させるには、二つの側面からのアプローチが必要です。
一つは、花のコアな消費者であるシニア世代への継続的な働きかけです。
こちらは、小売の基本である「接客」が重要な鍵になります。
もう一つは、若年・現役世代にも手の届く価格帯で花を供給できる体制の構築です。
それには、規格のコンパクト化などで生産・流通コストの削減が不可欠です。
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