早く見えて欲しい7年産米の下値目途【熊野孝文・米マーケット情報】2025年12月2日
11月27日に開催されたクリスタルライスの取引会では、106産地銘柄27万6667俵が売り提示された。売り提示された加重平均価格は3万0723円で、前回(10月30日)に比べ2111円、率にして7.8%値下がりした。新米が出回り始めた第一回目の取引会から毎回のように値下がりしており、いくらぐらいで下げ止まるのか先が見えない状況になっている。

この取引会での成約数量も1万7000俵止まりで、成約価格も2万7000円から2万8000円台と言う安い玉に集中し、さらには受渡し時期も来年4月末までと言うロングのものもあった。参加者卸の話題は「新米が売れない」ということに集まり、なかには「深刻さを通り越している」と表現する関係者の声も聞かれる有様。
クリスタルライスの取引会の翌日28日にコメ業界の現状がどうなっているのかを示す重要なデータが農水省から2つ公表された。
一つは10月末現在の7年産米検査数量で、それによると水稲うるち米は354万8000tで、前年の同じ時期に比べ27万8000t率にして7.8%多くなっている。主要産地銘柄では、新潟コシヒカリが22万2000tで前年同時期とほぼ同水準。秋田あきたこまちは22万2885tで前年同期比1万8407t、率にして9%増。ななつぼしは19万9785t、同6644t、3.4%増になっている。
特筆すべきは、にじのきらめきの検査数量が大幅に増えていることで、全国合計では昨年同期のほぼ倍の12万4638tにまで積み上がっている。11月18日に発表された7年産主食用米の生産量は前年産よりも67万6000t増加して746万8000tもあったのだから検査数量も今後さらに増加するものと予測される。
もう一つは10月の米穀流通の動向(集荷、販売、民間在庫)で、この中に「10月末民間在庫のポイント」と題して、前年同月よりも62万t増加して306万tと300万tを超えたことが取り上げられている。また、集荷数量も前年同期より26万6000t(17%)多い185万5000tになっており、4年ぶりの高水準。販売数量は28万7000tで前年同月を1万1000t下回っている。販売数量が前年同月を下回るのは昨年9月以来13カ月連続。
7年産米の販売不振の中で気がかりな情報としては「値下げしても売れない」というという話が伝わっていること。ただし、これも程度問題で中部地区のスーパーが関東地区初出店祝いとして秋田あきたこまち5キロ2980円で販売したところあっという間になくなったという。
ディスカウントスーパーの中には11月末で備蓄米販売完了の告知を行っているところもあり、代わりににじのきらめきを5キロ3980円で販売しているが、この程度の値下げではインパクトに欠けるようだ。
市中では、集荷業者から卸に所有権移転される7年産米の額が巨額に上ることからどう決済していくのかということもささやかれるほどになっており、下値目途がわずかでも見えることを待ち望んでいる。
それが見えるには、一つには政府備蓄米の買戻しで、この点について農水省は「買戻し条件付き売渡し及び随意契約による売渡しに係る買戻し及び買入れは、流通関係者の予見性の確保及び年産構成の平準化の観点から、対象となる約59万トンを今後の需給状況等を見定めた上で実施」としている。その場合、買入れの方法について<買戻し条件付き売渡しに係る買戻し>については「一般競争入札による政府備蓄米の買受者の中から、見積合せにより契約相手を決定」、<随意契約による売渡しに係る買入れ>については「一般競争入札」としている。買入価格・落札者の決定は、<買戻し条件付き売渡しに係る買戻し>については「見積合せにより契約相手を決定」、<随意契約による売渡しに係る買入れ>については「予算決算及び会計令に基づき、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に予定価格を定め、低価の入札者から落札者を決定」―という手法で、具体的な数量や時期について明らかになったものはない。
ただ、自民党が11月26日に国に申し入れた「当面の米政策における水田活用と食料安全保障の強化について」の中に「令和8年産米の政府備蓄米への買入れを実施するとともに、政府備蓄米の備蓄水準の回復を図るための買戻し及び買入れは、今後の需給状況等を見定めた上で行うこと。令和8年産米の買入価格については、食料・農業・農村基本法に基づき、〈合理的な価格形成に向けた取引を促していることも踏まえ、今後の対応を検討すること〉」(下線は著者)という意味深な一文が加えられている。
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