【肉とビールと箸休め ドイツ食農紀行】(5)アジアショップって何? 日本食はどこで買えるか2026年1月30日
先日、日本から来た友人が、街中を散策していて面白い店を見つけたと喜びながら、日本のスナック菓子や和菓子を買ってきました。そのお店とは、アジアショップ。ヨーロッパで日本の食材を買う人たちが必ずと言っていいほどお世話になる専門店のひとつです。

ドイツ全国にチェーン展開する最大手アジアショップのgo asia。
地元民の利用者も多い
旅行でも、仕事の出張でも、留学でも、ヨーロッパに来た多くの日本人が、生活する上で先ず直面する大きな問題の一つに「毎日の食事」があります。
ことさらドイツ人は、食に対して非常に保守的。ドイツ在住20年、30年という人たちが口をそろえて、「昔は野菜と言えば、じゃがいも、たまねぎ、人参と、あとは酸っぱいキャベツの漬け物ぐらい。肉は豚肉しかなかった」と言うほど、食材の種類は豊富ではなかったようです。
現在では、だいぶスーパーの生鮮品コーナーにも色とりどりの野菜や果物が並ぶようになりましたが、それでも日本の八百屋の品ぞろえを知っている身としては、どうにも物足りません。野菜や果物でもその状況ですから、日本の食卓に並ぶようなコメや調味料は、ほとんど売っていないと言っても過言ではありません。
そこで登場するのが、この冒頭のアジアショップです。
これは何かというと、一般的なスーパーでは仕入れないような、アジアの食料品や日用品を輸入販売している専門スーパーの総称です。ここに行けば、生鮮の肉魚以外の食材はたいてい揃えられるし、お菓子やカップラーメン、お茶やお酒なども買うことができます。
客層は、アジア人が中心ではあるものの、ドイツ人やその他西洋人ももちろんいます。買いものかごを覗いてみると、アジア人は生鮮野菜や冷凍品、調味料などを入れている人が多く、西洋人はそうしたものの食べ方や使い方がわからないのか、比較的若者中心でインスタント麺類やお菓子、ペットボトル飲料などを買っている人が多いように見られます。

go asia 店内。商品名は日本語、中国語、英語の併記が目立つ
日用品も充実 茶碗や炊飯器も
アジアショップは、大きな都市に数店舗あるのはもちろん、昨今の移民の増加や食への関心の高まりを受けて、片田舎の小さな町でも見かるようになりました。とくに都市部では、それぞれの店主が、何でも取り揃える中華系、キムチの材料なども売る韓国系、冷凍の刺身用生魚や寿司桶などを取り揃える日系、各種スパイスや紅茶を多数取り揃えるインド系など、独自色の強い品ぞろえをアピールしています。
もちろん、ほぼすべての商品が輸入品なので、一般的なスーパーに比べれば高値だし、まったく同じ商品でも日本の店頭価格の2~3倍は当たり前。しかし、それさえ気にしなければ、日本の食卓をほぼ再現できるというわけです。

インド系アジアショップ店内。お香や神様の像なども売っている
このアジアショップが有用なのは、食料品だけでなく、食器類や日用品なども販売している店です。例えば、日本人の毎日の食卓に欠かせない白ご飯、その白ご飯を食べるご飯茶碗のような形状の食器は普通のスーパーで買うことはできず、こうしたお店で手に入れるしかありません。もっと言えば、炊飯器はドイツの家電量販店では売っていないため、そうした調理器具を揃えたい人たちも、まずはアジアショップということになります。
個人的意見ですが、日本はコメを輸出するなら、まずは箸と茶碗と炊飯器をセットで売り込んでほしいと思います。

go asia 店内。並ぶ食器類はおわん型のものが多い。
各国の特色豊かな専門店
いつごろから、こうしたアジアショップのような形態の店ができたのかは、定かではありませんが、戦後1950年代から、中華系移民や東ドイツでの労働力として国策で移住してきたベトナム人たちが、自分たちで消費する分を個人的に持ち込み、コミュニティ内で小さな露店を始めたのが、はしりだとされています。
実は、ドイツには、こうした移民系の専門店がたくさんあります。さすが年間60万人近くが移民として流入している国です。アジア系以外にも、ハラール食品を売るトルコ系、クスクスやキャッサバ、シマウマ肉などを売るアフリカ系、冷凍品だが種類豊富な魚介類やウォッカなどを取り扱うロシア系など、各国の移民がそれぞれの食文化に合わせたものを販売する地域別スーパーがたくさんあります。こうした店を渡り歩き、ドイツにいながら、各国の食文化の一端を垣間見るのも楽しいものです。
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