需要8万t減ふまえ設定 28年産米の生産数量目標2015年11月27日
農林水産省は11月25日に開催された自民党の農業基本政策PTで28年産米の生産数量目標の設定・配分の考え方を示した。
需要に応じた主食用米の生産を推進する観点から27年産の生産数量目標だった751万tから、毎年8万tの需要が減少していることを勘案して設定する方針を示した。単純に8万t減らすと743万tとなる。
27年産米では飼料用米の増産などで過剰作付けが初めて解消されるなどで、作況100だったこともあって主食用予想収穫量は744万tと生産数量目標を下回った。来年6月末の民間在庫量は205万tの見込みとなり前年より25万t減となった。 需給は引き締まり傾向にあり米価も26年産同時期価格(相対取引価格)にくらべれば60kgあたり900円程度上昇している(10月全銘柄平均1万3116円)。しかし、同PTの宮腰光寛座長はこの日の会合で「まだ適正米価ではないというのが共通認識。需給改善に向けてさらにしっかりアクセルを踏み込んでいく」との考えを示し、28年産も飼料用米の増産など主食用米からの転換を促進する必要があることを強調した。
農水省は28年産でも生産数量目標と併せて自主的取組参考値を設定、配分する方針でその水準については「6月末の在庫水準が近年では低位の水準と見通される生産数量を基本とする」方針を示した。
最近では200万tを超える水準が続いてきたが平成23、24年は180万tだった。かりに29年6月末の在庫量をこの水準にするため、需要減(年8万t)を考慮して生産数量目標を試算してみると、737万t程度となる。
27年産の主食用作付け面積が生産数量目標を下回ったのは36道府県、目標数量をさらに深掘りした自主的取り組み参考値をも下回ったのは28道府県と半数以上となった。
昨年の目標策定時に都道府県別の配分シェアは生産調整への取り組み実績にかかわらず固定するとしており、29年産でもこのシェアを固定することを周知して、28年産の生産数量目標や自主的取組参考値を設定、配分する方針だ。
農林水産省は需要に応じた生産の取り組みを継続、定着させていくことが行政による配分をしない30年産以降の主食用生産に求められることから、▽麦、大豆、飼料用米等の本作化の推進、▽産地別の主要銘柄の価格情報販売状況のきめ細やかな情報提供、▽豊作等が発生した場合の米穀周年供給・需要拡大支援事業による対応などを進めることにしている。
主食用米の売り急ぎを防止し、長期にわたって計画的に実需者に販売したり、あるいは輸出など他用途に向けるための保管費用などを支援する米穀周年供給・需要拡大支援事業は、生産者が拠出して積み立てた基金に国が助成を行って必要な財源を確保するもので、27年度では9道県が実施している。
今年度中に実施する意向があるのは7県、28年度に向けて体制整備予定や検討予定があるのは16県だという。
27年産米は全国ベースでは過剰作付けが解消し需給が引き締まる傾向にあるが、一部の県では大幅な過剰作付けとなっている。このため農水省は対象県を定め、需要に応じた主食用生産を推進するための重点キャラバンを12月から始めることにしており、県庁、県中、全農県本部への説明を行うとともに、JAや大規模生産者にも働きかけることにしている。
28年産米の生産数量目標などは11月30日の食料・農業・農村政策審議会食糧部会に諮問して決定される。
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