5キロ3000円台めざす 米増産の方向に同意 党首討論で石破首相2025年5月27日
5月21日に国会で党首討論が行われた。国民民主党の玉木雄一郎代表との討論で石破茂首相は、「米は(5キロ)3000円台でなければならない」「増産の方向に舵を切れというご指摘は同意する」と表明した。目標小売価格の明示と「増産の方向」は従来の米政策からの転換ともいえ、注目される。
「米は(5キロ)3000円台でなければならない」と述べる石破茂首相
(5月21日、国会・国家基本政策委員会合同審査会)
米は5キロ3000円台に。首相「責任取る」
党首討論で石破首相は、「米の値段を下げるというが、どのように、いつまでに、いくらに下げるか」という玉木代表の質問に答え「米は価格弾力性が小さい。わずかの供給の上下によって値段がものすごいふれる。それが効いていないというのはどういうことかは根源的問題だ。米の供給が安定的になされることになればこんなに価格が上下することはない」と問題を指摘した上で、「米は(5キロ)3000円台でなければならない。4000円台であってはならない。1日でも早くその価格を実現する」と述べた。
玉木氏が「5キロ3000円台に下がらなければ総理として責任を取るか」と問うと、首相は「責任を取っていかねばならないと思っている。仮に下がらないとするなら、なぜ下がらないかをきちんと説明するのは政府の責任だ」とした。
米不足を事実上認める
価格高騰の背景に関連して「米は余っているか、それとも足りないか」と玉木氏が問うたのに対し、首相は、「余っていたらこのようなことにはならない。......農地面積が減っていると全体の収量は減るはずだ。そういうことも含めて、米は足りないと断言はしないが、ぎりぎりの需給状況は超えていると考えている」と述べた。政府・農水省はこれまで「米は足りている」と繰り返してきたが、米不足を事実上認めた。
玉木氏も「そこの認識を明確にすることが必要だと私も思う」と評価した上で、「米政策を大きく変えるなら......増産に舵を切る必要があるんじゃないか。たくさん作ると(米価は)下がる。......その時に営農継続可能な所得を直接支払いでしっかり補償していく。......新たな直接支払いで米政策を変えていく。総理、お考えをうかがいます」と、農家への所得補償とセットで生産調整から増産へと転換する意図を質した。
玉木氏「増産に舵を」、首相「ご指摘は同意する」
「増産に舵を切る必要があるんじゃないか」と問う国民民主党の玉木雄一郎代表
首相は、「その問題意識をもって15年前、麻生内閣で農林水産大臣を務めた」がうまくいかなかった経過を振り返りつつ、「直接支払いは国民の税金が財源なので、どのような努力をした方に国民の税金を使って直接支払いをするのか。その対象にならない方の農業をどのように守っていくのか。犠牲やしわ寄せを最小限にしなければいけない。ただ『増産の方向に舵を切れ』というご指摘は同意する」と明言した。玉木氏は「明確な答弁ありがとうございます。党派を超えて農政についてしっかり考えていきたい。米政策見直しを2027年からやるということになっているが、小泉農相に前倒しで指示してほしい」とまとめた。
安心して増産するには
残りの量に限りがあることもあり、政府備蓄米放出はどこまでいっても対症療法だ。価格高騰の一因は、需給がぎりぎりになるように生産調整をしてきたことで、増産に踏み切ることには合理性がある。とはいえ、備蓄米放出に加え25年産米の作付増と海外からの輸入急増を併せると需給はかなり緩む方向にある。農家が安心して増産するには、所得補償や政府の買い上げ増などの施策が鍵になる。党首討論で石破首相が表明した基本方向が米政策見直しのなかでどのように具体化していくか、注目される。
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