【11月中酪販売乳量】1年2カ月ぶり前年度割れ、頭数減で北海道"減速"2025年12月18日
中央酪農会議は15日、生乳生産量に連動する11月の販売受託乳量を発表した。北海道の前年度実績割れが響き、全国の販売乳量は前年度比99・4%となった。前年度を下回るのは2024年8月以来だ。用途別では飲用牛乳の深刻な需要不振も浮き彫りになった。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
11月中酪販売乳量でも飲用牛乳の販売不振が浮き彫りとなった
■北海道は24年7月猛暑以来の減速
全国の生乳生産は約6割を占める北海道の動向が大きく左右する。11月は北海道が昨夏の猛暑で生産が伸び悩んだ以来の前年度割れとなったことが、全国ベースでも前年度実績を下回ったことにつながった。
北海道は24年7月に前年度対比で97・8%と、前年度を大きく割り込んだ。列島を覆った猛暑が北海道にまで及び、初夏の段階から夏バテによる乳牛の食い込み不足などで乳量が落ち込んだ。猛暑は繁殖障害などを起こし、分べん時期のずれなど後々の生乳生産の異変にも結び付いていく。今回の北海道の前年度割れは、2月に99・3%があるが閏年修正値で実質プラスとされ、実質1年3カ月ぶりの減速となった。
■全国99・4%でも需給緩和
北海道の減速で、11月は全国ベースでも前年度対比で99・4%のマイナスとなった。4~11月累計では100・9%と、かろうじて前年度実績を上回っている。11月の地区別販売乳量は以下の通り。
◇11月の地区別販売乳量
〇北海道99・7
・東北 96・7
・関東 99・8
・北陸 97・2
・東海100・5
・近畿 98・2
・中国 98・5
・四国 99・9
・九州 99・9
〇都府県99・1
〇全国 99・4
(※前年度比、%)
ただ、前年度割れとなっても生乳需給環境は過剰感が覆っている。脱脂粉乳の在庫が積み上がっており、このままでは年度末には生乳換算で8万トン超えと、コロナ禍時に次ぐ在庫量となりかねない。喫緊の課題は、年末年始の飲用牛乳需要減少に対応した生乳廃棄回避で、業界挙げた牛乳・乳製品の需要拡大と飲用牛乳安売り防止へ全国規模で加工処理をどう円滑に進めるかだ。
■深刻な牛乳不振、非系統拡大も
用途別では、あらためて今後の生乳需給の懸念材料が明らかになった。
需給全体を左右する飲用牛乳の伸び悩みは思った以上に深刻なことだ。不需要期という季節的な要因を差し引いても、関係者の間では需要が伸びないことに不安を募らせている。11月の牛乳や加工乳、乳飲料の飲用牛乳等向けは北海道で前年度対比88・8%と9割の大台を割り込む落ち込み。全国でも95・9%となった。
北海道で飲用向け販売が減少すれば、需要が堅調なチーズ、生クリームがどれほどになるかにもよるが生産された生乳は乳製品加工に回り脱粉在庫がさらに積み上がりかねない。
一方で、中酪販売乳量は、あくまで指定団体の受託乳量で、非系統の自主流通グループの取扱乳量は把握していない。改正畜安法に伴い、主産地・北海道で非系統出荷の大型酪農家の割合が増えており、北海道の飲用牛乳販売不振は非系統にシェアを奪われている側面も直視しなければならない。
■脱粉削減につながる発酵乳も苦戦
さらに、脱粉消費につながるヨーグルト原料になる発酵乳販売の苦戦している。11月の北海道は前年度対比92・7%。全国ベースで同95・8%と前年度実績を下回ったまま。
半面、飲用牛乳、発酵乳が落ち込んだ分、需給調整の役割も果たす脱粉、バター仕向けが北海道で同105・3%、全国で同106・8%と増えた。都府県だけを見ると同124・2%と大きく伸びた。都府県はもともと飲用主体で加工の数字が小さいとはいえ、牛乳不振で加工に回さざるを得ない実態を移す。
■北海道の頭数減で今後も"減速"
今後の見通しはどうか。中酪は「北海道の前年度割れは年明け後も続く」と見通す。北海道の搾乳の主体となる2歳以上乳雌牛の減少や個体当たり乳量増加が一巡したとみられることなどが理由だ。
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