配合飼料価格1300円値上げ JA全農2014年3月24日
JA全農は3月20日、4-6月期の配合飼料供給価格を1-3月期にくらべて1トンあたり約1300円値上げすると発表した。
値上げ額は全国全畜種総平均。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なる。
トウモロコシの輸出国であるウクライナの政情不安からシカゴの相場が上昇していることや大豆粕の値上がりなどが要因となった。
JA全農が合わせて発表した飼料をめぐる情勢は以下のとおり。
【飼料穀物】
トウモロコシのシカゴ定期は昨年12月上旬には1ブッシェル4.3ドル前後で推移していたが、1月発表の米国農務省の需給見通しにおいて期末在庫率が下方修正されたことやウクライナの政情不安から相場は上昇し、同4.8ドルを越える水準となっている。
今後は、米国で新穀の作付面積が減少すると予想されていることや輸出需要が引き続き好調であることから、シカゴ定期は堅調に推移するとの見込み。
【大豆粕】
大豆粕のシカゴ定期は昨年11月下旬までは1トン450ドル前後だったが、米国産大豆の期末在庫率が4%台と低水準にあることや、東南アジア諸国の大豆粕需要が堅調であることから、現在は同510ドル台で推移。
一方、国内大豆粕価格は輸入大豆粕の価格が上昇していることや、国内大豆粕の発生量が減少していることから値上がりが見込まれる。
【海上運賃】
米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、中国向け大豆や鉄鉱石の輸送需要が増加したため、昨年12月には1トン60ドルを超える水準まで上昇した。その後、中国の旧正月向けの荷動きが落ち着いたことから、現在は同50ドルを下回る水準となっている。
今後は南米産の新穀大豆の輸出が3月下旬から最盛期を迎えるため海上運賃は強含みとなることが見込まれる。
【外国為替】
外国為替は昨年12月上旬には1ドル102円台で推移していたが、雇用統計など米国の経済指標が良好であったことからドルが買われ一時は105円台まで円安が進んだ。その後、アルゼンチンなど新興国の通貨不安から安全通貨である円が買われ、現在は103円前後で推移。
今後は米国の景気回復に加え、日本では金融緩和政策が継続さえる見通しで緩やかに円安が進むと見込まれる。
◇ ◇
今回の価格改定にはウクライナの政情不安によるトウモロコシ相場の値上がりが影響した。
農水省によると、2013/14年度のウクライナのトウモロコシ生産量見込みは史上最高の3100万トンで世界5位。輸出量では3位で約1900万トンとなる見込み(シェアは16.2%)だ。
ウクライナから日本への輸出額(平成25年、以下同)は457億円。農林水産物が60%を占め276億円の実績だ。このうちトウモロコシは66%、181億円を占め61万トンを輸入している。日本のトウモロコシ輸入先では米国、ブラジルに次ぎ第3位で6%を占めている。
(関連記事)
・【特集・JA全農飼料畜産中央研究所養豚研究室】養豚農家の所得向上に直結する研究をめざす(2014.03.18)
・【酪農部】酪農生産基盤の維持へ、需給調整機能を強化 宮崎幹生部長インタビュー(2013.12.24)
・畜酪、基本政策確立を 萬歳全中会長が談話(2013.12.20)
・補給金単価0.25円値上げ 26年度畜酪対策(2013.12.19)
・配合飼料供給価格500円値下げ JA全農(2013.12.17)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日