加工適性の高い野菜の開発など 経済界との連携2015年5月21日
JAグループは活力ある農業と地域づくりに向けた取り組みの一環として経済界との連携強化を進めている。JA全中はこのほどその成果の概要を公表するとともに、今後も引き続き、農業界側と経済界側とのマッチングを図るなど連携を強化する方針を示した。
両者は連携強化に向け昨年5月に経団連・JAグループ首脳が共同会見を行って「活力ある農業・地域づくり連携強化プラン」を発表し、提携プロジェクト創出をめざす方針を決めた。
その後、7月・10月に会議を開き、農業界側は全農が課題を提起、経済界側は17社が技術や資材などの提案を行った。そのうち20件について全農・県本部と各企業との間で個別協議を行って提携プロジェクト創出に向けた取り組みを進めている。
テーマは新資材・栽培技術、農業ICT、物流・加工イノベーション、国産農畜産物の商品価値向上などだ。
代表事例のひとつに、ビール酵母を活用した液状複合肥料と土壌改良資材がある。アサヒグループホールディングスからの提案で、酵母の働きによって気候変動に左右されない収量増加や品質向上が期待できるという。全農本所と特定県域で試験に向けた協議を行い、今春から産地で実証試験を行っている。
加工・物流適性の高い野菜品種の栽培も進められている。シンジェンタ社が開発した種子で、キャベツ・レタス・ブロッコリーなどカットしやすい性状を持つもので、加工・業務用向けに栽培の具体化を図る。現在、全農と同社で連携し取り組み意向のある県域との協議を進めている。
そのほか、国産農畜産物の商品価値を上げるため、マーケティングやブランド開発、通販システム開発などまで、商品企画から販売まで総合的に展開する事業展開や、生産現場でのICT活用などが提案され協議が進められている。
JAグループと経団連は「情報の共有化が促進され経済界の技術・ノウハウを活かした新たな事業モデルの導入や、プロジェクト化の検討が進むなど、意義ある取り組みになった」と評価し、今後も双方に連携事務局を置き、現在進行中のプロジェクトを管理するとともに、新たな提案についても引き続き受け付け、マッチングを図ることとしている。連携事務局の窓口はJA全農側は総合企画部事業開発課、経団連側は産業政策本部とし、て常時開設する。
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