JAフェリー65年に幕 愛され、信頼に支えられ JAえひめ南2016年4月8日
全国で唯一、JAが運営するフェリーが、64年の幕を閉じた。愛媛県の宇和島と九島を結ぶ航路で、島で暮らす人々にとって、文字通り生活の足だった。4月3日の「九島大橋」開通に伴い、最後の就航を終えた。
このフェリーは1951年、旧九島農協が民間会社から事業譲渡を受け、98年からJAえひめ南から分社し、子会社の株式会社愛媛南汽船が運営していた。九島は宇和島港からフェリーで15分ほどのところにある。ミカンなどの果樹や漁業が盛んで、フェリーは島と宇和島を結ぶ唯一の定期航路だった。
島の人口は、かつて200人以上いたが、今は1000人前後まで減少。このため利用者が減少して赤字が続き、行政からの補助金を受けながら運営していたが、九島大橋の開通でお役御免となった。4日就航を終えたフェリー「第八くしま」の「お別れ会」があり、別れを惜しんだ。
子会社化を含め、経営が厳しいなかで今日までフェリー航路を維持してきたJAえひめ南の前組合長の林正照さん(75)は「赤字が続き、総代会でいろいろ言われたが、フェリーは島の生活にとって大事な航路。協同組合としてやめるわけにはいかない。橋が架かるまでなんとしても維持しなければならないと説得してきた。言葉に言い表せない思いがある」と、振り返る。
◇
黒田義人・JAえひめ南組合長の話
別れの日、エンジンルームに案内してもらいました。規則的なエンジンの音を聞いていると、長い間、律儀に働いてくれた船のことを思い、涙が出ました。みんな同じ思いだったと思います。
コンビニやスーパーがあれば農協は必要ないという人もいますが、利用者に愛され、信頼されたフェリーは、まさに農協を象徴する事業だったと思います。橋ができて便利にはなりますが、フェリーで培った信頼を大切にしたいと思っています。
(写真)就航を終えたフェリー「第八くしま」
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日