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2016.08.31 
JAの必勝体制確立へ 第26回 JA人づくり研究会一覧へ

従来の発想・手法から転換
「災間」の時代認識を
准組合員問題の議論を

 組合長などJAの常勤役員の相互研鑽の場であるJA人づくり研究会(代表=今村奈良臣東京大学名誉教授)は8月10日、東京・大手町のJAビルで第26回研究会を開いた。テーマは「JAの組織・機能、人材育成とその配置、そして必勝体制はいかにあるべきか」。これに沿って「災間(災害と災害の間の期間・時期)を生きる時代認識をどう考えるか」、「JAの活力とその源泉」で福島大学の守友裕一特任教授、同小山良太教授がそれぞれ問題提起。また都市化の中で多様な農業の担い手育成に力を入れているJA横浜の事例報告があり、これらをもとにディスカッションした。

 今回のテーマは3年前の第17回人づくり研究会と同じ。JAグループの自己改革のもとでも協同組合の本質的課題は変わらないとの認識のもと、「人づくりは全国画一の基準や考え方で進めるものではなく、それぞれの地域や農業の実態と特性に応じた自主的・主体的な取り組みこそが肝要」であり、今こそJA常勤役員が相互研鑽や悩みを共有し、自らの現場に戻って強いリーダーシップを発揮する、役員相互のネットワークづくりの場とすることを改めて確認した。
 冒頭、今村代表は、(1)農業は生命総合産業であり、農村はその創造の場である、(2)食と農の距離を全力をあげて縮める、(3)農業ほど人材を必要とする産業はない、(4)トップダウン農政からボトムアップ農政への改革に全力をあげる、(5)共益の追求を通して私益と公益の最大化をはかるーことを重要課題として挙げ、食と農および協同組合の役割の大切さを強調した。

◆「常時災害」前提に

JAの必勝体制を探ったJA人づくり研究会 研究会では守友特任教授が、東日本大震災・原発災害の被災地福島をフィールドとする福島大学で、新たに農学部の立ち上げに携わる立場から「災間」の概念を説明。21年前1995年の阪神淡路大震災、12年前2004年の中越地震、5年前2011年の東日本大震災、そして今年の熊本地震と大きな災害が相次いでおり、その中で協同組合として地域における役割の発揮や課題の解決を考えるべきだと、新たな「時代認識」を問題提起した。つまり安全至上主義からリスク許容を前提にした考え方が必要だと話した。
 さらに被災地における復興途上で現在起きている課題は、震災前から潜在的に存在しており、解決できずにいた課題が被災・復興の過程で顕在化したものであるとした。そのような地域課題は、従来型手法で解決することは難しいとして「新しい試みの模索、従来とは違う考え、実践に光をあてる」必要性を強調した。また災害の復興予算に年次的制約があることなどを例に定型・縦割り型の手法から横断的・総合的発想への切り替えが必要であり、それを担う組織の一つとして、同教授はJAを挙げた。
 一方小山教授はJAや生協、漁協、加工メーカーなどが連携してつくった「ふくしま大豆の会」が、遺伝子組み換えダイズに対して、国産ダイズを守るため豆腐などの商品に再生産可能な価格を上乗せして販売し、消費者の理解を得た経験をもとに、協同組合が「人的結合体」であることを強調。「協同組合は株式会社と異なり、社会的な価値があることを意識していることが強み」であることを調査結果を基に説明。学習活動で、こうした意識を持つ組合員や役職員を育てることが協同組合の「人づくり」であると指摘した。
 地方ではJAも生協も、そして漁協も組合員がダブるケースが多い。同教授は「組合組織を共有できないか」と問題提起する。イギリスや韓国では、経済社会のグローバル化によって、協同組合が株式会社に乗っ取られることなどを防ぐための法律や、協同組合を包括する「統一協同組合法」を制定しており、今の日本の「農協改革」はその真逆の動きをしているとして警鐘を鳴らした。

◆多様な担い手育成

 実践事例ではJA横浜の波多野優常務、籾山功常務が都市化の中にあって農業所得増大に向けたJAの自己改革の取り組みを報告した。同JAは所得増大のため、(1)営農支援の強化、(2)生産コストの低減対策、(3)販売力向上、(4)6次産業化等新規分野への取り組み―の4つを重要課題として挙げている。
 同JAは特に小規模経営の担い手支援、販売市場の確保で実績がある。Uターン農業者講座や農業塾の開講などで多様な担い手を確保し、技術研修や営農資金援助などで積極的に支援。さらに6次産業化にも取り組み、農業所得の増大に努めている。特に「だれでも、何でも、いつでも、どれだけでも」出荷できる「一括販売」という販売方法を確立し、大消費地内にあるJAの農業振興のあり方の一つを示している。

◆准組など広い議論を

 ディスカッションでは、JAの組織と地域が危機に直面している中で、准組合員への対応が焦点になった。特に「理事会や職員の中でも、正面から准組合員のあり方について議論がなされていない」「准組合員の口から、JAは必要だと言うことが必要だ。そのように市民を巻き込み、准組合員問題に対応すべきだ」などの発言があった。
 このほか、JAはさまざまな改革が必要であり、どれをとっても、どのように人材を育成していくのかが課題であり、岐阜県のJAめぐみのでは販売担当者の育成に、市場担当者や地銀との学習をしていること、同県JAひだは「販売戦略室」を新設したことなどの報告があった。
 またJAおきなわからは、与那国島で高齢化や台風被害で荒廃するサトウキビの生産を維持するには、JAが何らかの形で農業に参入せざるを得ないとの報告があった。
 さらに原発事故からの復興については「高齢化が一挙に10年以上進んだ被災地では、行政の進めるような単に震災前への復旧では意味がない。地域と農業の創生は全く新しいスタイルでないと真の再生は望めない」、「桃の価格は未だに風評被害の影響から抜け出せていない中で若い人が福島へ来たくなるような絵を描きたい」というJAふくしま未来からの発言があった。
 このほか「赤字を出すなという営農経済事業改革の中で生産組合に施設負担を求めている」「組合員の意思反映システムを機能させる必要がある」「複合経営の中で仲間づくりに時間をかけてきている」「どこを向いているか分からない国の政策に翻弄されている」など、さまざまな意見が出た。
 なお研究会では参加者全員が発言し、それぞれの地域やJAの現場における課題や取り組みについて幅広く、活発な意見交換を行った。

(写真)JAの必勝体制を探ったJA人づくり研究会

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