「ごはん・お米とわたし」作画コン大賞 つくば市立桜南小 木村さん 浜松市立南部中 柴田さん2016年12月12日
JA全中は12月9日、小・中学生を対象にした「ごはん・お米」にまつわる作文・図画コンクールの受賞者を発表した。表彰式は来年1月14日東京都内で行われる。
毎日のごはんでおいしかった思い出や家族とのコミュニケーションなどの作文・図画を募集し、今回、作文部門に5万2110点、図画部門に6万9805点の応募があった。この中から、内閣総理大臣賞(2人)、文部科学大臣賞、農林水産大臣賞、JA全中会長賞(各6人)、優秀賞(90人)の計110人の受賞者と学校奨励賞14校が決定した。
今回の内閣総理大臣賞は作文・図画ともに自然災害が題材の作品が選ばれた。全中は「被災地で炊き出しのおにぎりに励まされる姿や、災害に負けず米を作り続ける農家の力強さなどが伝わってくる力作」とコメントしている。
内閣総理大臣賞・図画部門受賞者は静岡県・浜松市立南部中学校3年の柴田紗希さんの「おにぎり一つ、うれしくてありがたい」、作文受賞者は茨城県・つくば市立桜南小学校5年の木村葵さんの「水害を乗りこえて」だった。
柴田さんの図画と木村さんの作文を掲載する。
「おにぎり一つ、うれしくてありがたい」
静岡県・浜松市立南部中学校3年 柴田紗希
「水害を乗りこえて」
茨城県・つくば市立桜南小学校5年 木村葵
わたしは白いご飯が大好きです。朝、たきたてのぴかぴか光ったご飯を口いっぱいほおばるだけで、一日の元気がわいてきます。
わが家で食べているお米は、常総市に住んでいる池田さんの田んぼからとれたお米です。毎年、秋になると家族で稲かりやかけ干しを手伝いに行って、とれたてのお米をいただいています。しかし、今年のお米はいつもとはちがいます。味がちがうのではなくて、重みがちがうのです。
それは、昨年九月に起きた東日本ごう雨災害によって、常総市は大きなひ害を受けたからです。
「ここらは水が豊かで、土もこえている。手をかけた米はうめえんだ。」
そう言いながら、田植えの時期から夏の暑い日まで、池田さんが汗だくになりながら守りぬいてきたお米。でも、水がひいてみると、倉に置いていたしゅうかくしたばかりの新米は水をかぶさってくさってしまい、たおれた稲には土やどろが付いていました。自まんのコンバインも使えなくなっていました。
それでも、池田さんは少しでもむだにしたくないと、土やからまった稲を手でよけながら水田に残った稲を手でかり取りました。稲は、長い間土が付いたままにしておくと、呼吸が出きずにかれてしまったり、光合成で出来るでん粉の量が減って品質が悪くなってしまうのだそうです。近所の農家の方も来てくれて、わたしたち家族も手伝いました。いつもなら、かまで稲をかった時に太陽のにおいがするのに、この時はしませんでした。
それどころか、かり取るたびに、土ぼこりがまって目にしみるので、なかなか作業が進みません。それでも、みんなで協力して何とかしゅうかくすることができました。
過ぎてしまった過去は変えられないし、自然の力に人間は勝てません。悲しいしくやしいけれど、自分にできる事をせい一ぱいすることが未来を変える第一歩なのだと池田さんは教えてくれました。
わたしは、池田さんの働く姿、生きる姿を間近で見て、お米は農家の人が心をこめて作った命そのものなんだとありがたさを実感しました。そして、あきらめない強い心や地域の人のきずなの大切さを学び、努力を忘れない人になりたいと思いました。お米にはたくさんの人の努力や愛情がつまっていて、その一つぶ一つぶが命をつないでいるのです。お米を食べた時にほっとしたり、心があたたかくなるのはそのためだったのです。
季節が変わり、今年も稲の穂がどんどん出てきています。あの時、あきらめないでみんなで協力してできた命です。どんなごちそうにも負けないパワーがあふれています。
しゅうかくまで、後もう少し。がんばれ、稲たち。今日も、これからも、感しゃの気持ちをこめてご飯をいただきます。
木村さんの作品を「農業の根本である諦めない心や地域や家族の絆の大切さを災害から学び、表現している」と講評。また柴田さんの図画は「被害者への炊き出しという時宜を得た題材もさることながら、感涙にむせんでいる被災者、現場に出動している自衛隊員など、情景を巧みに表現しており、見事な出来栄え」としている。
このほかの受賞者は次の通り(敬称略)。
【文部科学大臣賞】
〇作文部門
▽熊本県・山鹿市立八幡小学校3年 平木慎晟「地きゅうにやさしい米作り」
▽広島県・呉市立広小学校4年 相原潤「お米が教えてくれる平和」
▽岡山県・里庄町立里庄中学校2年 佐藤絢寧「ひいおばあちゃんの本当に好きなもの」
〇図画部門
▽広島県・三次市立十日市小学校
3年 伊藤勇人「おいしいお米ができますように」
▽山梨県・甲斐市立竜王小学校6年 藤本琴美「大好きなお米!!」
▽宮城県・涌谷町立涌谷中学校3年 和田都「大切にしたい、米食の原点」
【農林水産大臣賞】
〇作文部門
▽茨城県・水戸市立国田義務教育学校3年 白田悠雅「さい高のごほうび」
▽岩手県・大船渡市立盛小学校6年 畠山公「僕と未来をつなぐ米」
▽徳島県・私立徳島文理中学校3年 大本泉「最後のおにぎりの温かさ」
〇図画部門
▽島根県・松江市立川津小学校3年 矢田小夏「はなえちぜんのいねかり」
▽島根県・益田市立吉田小学校5年 福原颯太「田植え」
▽佐賀県・佐賀県立武雄青陵中学校3年 長田彩伽「夏空と田植え」
【全国農業協同組合中央会会長賞】
〇作文部門
▽香川県・観音寺市立常磐小学校2年 田尾よつば「おじいちゃんのたきこみごはん」
▽滋賀県・彦根市立河瀬小学校6年 所晴生「ふなずしから知るお米パワー」
▽熊本県・熊本市立湖東中学校2年 厚地ひなの「大好き!熊本のお米」
〇図画部門
▽三重県・伊勢市立修道小学校3年 柴田知昔「おじいちゃんおつかれさま」
▽佐賀県・佐賀市立開成小学校4年 出口大暉「もちつきがんばるぞ」
▽福岡県・久留米市立北野中学校2年 石内花蓮「いつしょに収穫」
※福原颯太さんの「原」は正確には異体字です。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日