「政府による農協改革とJA自己改革の課題と対応」をテーマに、JA人づくり研究会が「第28回研究会」を開催2017年10月31日
JA人づくり研究会は、10月27日、東京大手町のJAビルで「政府による農協改革とJA自己改革の課題と対応」をテーマとした第28回研究会を開催した。
冒頭の開会挨拶で、副代表の黒澤賢治氏(JA甘楽富岡元理事)は、JA甘楽富岡での実践を元に「JAと農家組合員とが一体となって成長できるような地域のしくみを創造することがJAの使命」と、JA自己改革で根幹とすべき理念を述べた。
広島大学小林元助教は「JA自己改革にむけた取り組み実態と課題」をテーマに講演。JA自己改革の取り組みにおいては、先進的なJAと後れを取っているJAとの間に大きな格差があり、役職員の現状認識の甘さや縦割りの事業運営、メニューだけが並びお題目になっている状況などが原因と指摘した。先進的な取り組み事例として、JAつがる弘前(青森県)、JAかいふ(徳島県)、JAやつしろ(熊本県)を紹介し、多様化する組合員と向き合い、将来どうありたいのか、ストーリー性をもって地域のグランドデザインを共に描くことの重要性を述べた。
(写真)10月27日に行われたJA人づくり研究会
続いてJA自己改革に積極的に取り組む2JAの常勤役員が実践報告した。
JAぎふ(岐阜県)の岩佐哲司常務理事は、平成26年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」が自己改革の良いきっかけとなったと、取り組み経緯を報告。トップダウンではなく、より現場に近い部長クラスが中心となって策定した「第3次中期経営計画」では、「積極的な自己改革への挑戦」を主テーマに掲げ、農業者の所得増大の実現、総合性の発揮による地域の活性化、組合員と利用者に信頼される経営基盤の確立の3本を基本目標として、自己改革を多面的に実践する。組合員の意思反映のため、役員や部課長が支店職員とともに重要世帯へ定期的に訪問する「みらいJAプロジェクト」や、自己改革をテーマとした組合員アンケートの実施など、組合員の生の声を聞き、意見や要望を経営に反映させる仕組みを構築。組合員や地域の利用者との距離を縮め、「JAが無くなっては困る!」と言われる組織を目指す。
JA梨北(山梨県)の仲澤秀美常務理事は、「農協改革が取り沙汰される以前に策定した『第7次中期経営計画』で、すでに自己改革を視野に入れた"あるべき姿の追求"をテーマに、組合員の営農・生活・財産を守ることを目標とした経営方針を組み立て実践してきた」と話す。
経営方針の主軸は"組合員メリット"の創出。営農戦略の1つが、段階的な「梨北ブランド」の確立で、規格をクリアした商品「メイドイン梨北」を中心に、最高級品の「メイドイン梨北エクセレント」、農産物直売所向けの「マルシェ梨北」など、ストーリー性のある差別化で廃棄ゼロを目指し、組合員メリットの増大を図る。「組合員にはJAを使う権利はあっても義務はない。組合員に選んでもらえるJAになるために、JA梨北はさらなる自己改革を目指す。JAは、ビジネスとして成り立たない地域の最後の砦でありたい」と述べた。
総合討議では、「自己改革に向けて何をすべきか」を主なテーマに活発な意見交換がなされた。組合員との距離を密接にし、組合員から選ばれる組織になることが必須だという声がある一方で、広域合併したJAでは、役員・職員・組合員で情報が行き渡りづらいことにも言及し、管内の規模や地域特性を踏まえ「一番伝わりやすい形」を考えて情報共有をすべきだという意見があがった。
自己改革は、まず役職員がJAとは何かを心の底から理解することから始まり、JAが果たす社会的な役割を真剣に考えるべきだと結論づけられた。
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