遠野市を「ビールの里」に 農林中金とキリン(株)が出資2018年8月6日
・ホップ生産法人へ出資
農林中央金庫はキリン㈱と、岩手県遠野市が掲げる「ビールの里構想」の実現に向けたまちづくりを支援するため、農業生産法人のBEER EXPERIENCEに出資した。8月6日、関係者が記者会見した。
遠野市は1960年代にキリンの栽培指導で日本有数のホップ産地となったが、少子高齢化で生産者は現在35戸となった。ピーク時の4分の1、44tまで生産量が減り、ホップを原料とする国内のビール市場も13年連続で前年割れが続いている。一方、多様な種類のホップを使ったクラフトビールの人気が、若者を中心に高まり、クラフトビール市場は約2倍に拡大している。
写真右から溝内良輔キリン取締役常務執行役員、
吉田敦史BEER EXPERIENCE社代表取締役社長(手にしているのはパドロン)、
本田敏秋遠野市長(手にしているのがホップ)、
金丸哲也農林中央金庫代表理事専務
キリングループはホップ栽培で契約関係にある遠野市と「ホップの里からビールの里へ」を合言葉に、新規就農者の獲得や交流人口の増加などに貢献してきた。
今年設立された農業生産法人BEER EXPERIENCEへの出資で、キリンが育種した希少ホップ「MURAKAMI SEVEN」を中心とした日本産ホップの生産やブランド価値の向上、地域経済の活性化などに貢献するとともに、日本産ホップの安定調達、クラフトビールの育成などにつなげる。
農業生産法人BEER EXPERIENCE社の吉田敦史氏(45)は10年前に妻の実家のある遠野市に移住し農業生産法人(株)遠野アサヒ農園を設立し、「ビール農業」を掲げてホップ栽培とビールのつまみになる野菜としてスペインで栽培されているパドロンの生産などを行ってきた。
遠野産ホップの生産量は減っているが、クラフトビール人気でホップ契約栽培の申込みも増えてきたといい、ホップ生産をしたいという新規就農者も過去4年間で7人になったという。
新法人の立ち上げは遠野市のビールの里構想を推進する核とするためで、キリンが1.5億円、農林中金(アグリビジネス投資育成(株))が1億円出資した。従業員は7名でホップとパドロンの生産拡大をめざす。そのために休耕地8haを借り、栽培の機械化も進める予定だ。ホップの生産目標は2026年に収穫量20tとしている。
パドロンは年1回収穫のホップの収入を補い経営を安定させる品目でもある。ホップ生産農家に限らず吉田氏は地域の特産品として育成する考えで「JAへの系統出荷も考えたい」と話す。また、JAいわて花巻は同社への融資などで支援も予定している。
農林中央金庫は「全国共通の社会課題である地域創生を実現するためのビジネスのモデルケースをめざす」と期待する。 遠野市の「ビールの里構想」によると、将来的にはホップの特性を生かしたビールの製造・販売や、醸造家を育成するなどのブルワリーラボ事業も検討。遠野市を、日本のビール文化・産業の魅力を発信するまちへと発展させる計画だ。
(関連記事)
・法律で組合利用義務 仏・独・蘭と日本の農協の違い鮮明(18.08.06)
・日本美食(株)の株式取得 農林中金(18.07.24)
・【インタビュー・奥和登・農林中央金庫新理事長】地域の主人公は農協(18.07.03)
・JA貯金 伸び率2.8%-農林中央金庫(18.06.29)
・JA出資型法人 事業分野拡大し地域農業再建(17.12.18)
・いつまで続くマイナス金利 疲弊する地域金融(18.06.07)
重要な記事
最新の記事
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲の本田防除(1)育苗箱処理剤が柱2025年6月17日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲の本田防除(2)雑草管理小まめに2025年6月17日
-
米 収穫量調査 衛星データなど新技術活用へ2025年6月17日
-
価格高騰で3人に1人が米の消費減 パンやうどん、パスタ消費が増加 エクスクリエの調査から2025年6月17日
-
深刻化するコメ加工食品業界の原料米確保情勢【熊野孝文・米マーケット情報】2025年6月17日
-
2025年産加工かぼちゃ出荷販売会議 香港輸出継続や規格外品の試験出荷で単収向上を JA全農みえ2025年6月17日
-
2024年産加工用契約栽培キャベツ出荷販売反省会を開催 旬別出荷計画の策定や「Z-GIS」の導入推進を確認 JA全農みえ2025年6月17日
-
和歌山「有田みかん大使」募集中 JAありだ共選協議会2025年6月17日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第110回2025年6月17日
-
「第100回山形農業まつり農機ショー」8月28~30日に開催 山形県農機協会2025年6月17日
-
北海道産赤肉メロン使用「とろける食感 ぎゅっとメロン」17日から発売 ファミリーマート2025年6月17日
-
中標津町と繊維リサイクル推進に関する協定締結 コープさっぽろ2025年6月17日
-
神奈川県職員採用 農政技術(農業土木)経験者募集 7月25日まで2025年6月17日
-
【役員人事】ノウタス(6月17日付)2025年6月17日
-
「九州うまいもの大集合」17日から開催 セブン‐イレブン2025年6月17日
-
農薬出荷数量は1.5%増、農薬出荷金額は2.8%増 2025年農薬年度4月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年6月17日
-
中国CHERVON社と代理店契約 EGO製品の国内販売を開始 井関農機2025年6月17日
-
鳥インフル ブラジルからの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年6月17日
-
戦後80年にできることは?情報誌『のんびる』7・8月号受注開始 パルシステム連合会2025年6月17日
-
千葉県成田市に初出店「カインズユアエルム成田店」2025年秋オープン2025年6月17日