拓け!地域・農業・未来 第65回JA全国青年大会開催2019年2月20日
・「食料安全保障」確保を特別決議
JA全青協(全国農協青年組織協議会)は2月19、20日の両日、東京都内で第65回JA全国青年大会を開いた。大会には全国から約1500人の盟友が参加し、「青年の主張」や「活動発表」などで交流を深めた。「JA青年の主張全国大会」では熊本県JA鹿本青年部の横田大輔さんが最優秀賞(JA全中会長賞)を、「JA青年組織活動実績発表全国大会」では長野県JA信州うえだ青年部が最優秀賞(千石興太郎賞)を受賞した。なお大会は、「食料・農業・農村基本政策および食料安全保障」で特別決議を採択した。

(写真)食料安全保障を決議したJA全国青年大会
今回の大会のメインタイトルは「繋げ!協同 新しい時代へ」で、サブタイトルが「拓け!地域・農業・未来」。主催者のJA全青協・水野喜徳会長は、特に青年部が取り組んでいるポリシーブック(政策提言集)の役割を強調し、「ポリシーブックを有効に活用し、地域、農業、協同を次世代へ繋いでいく責任が、青年部にはある」とあいさつした。
来賓の吉川貴盛農水大臣は日本の農業の将来についてロボットやドローンなどによる「スマート農業」と輸出の可能性に触れ、「新しい技術、市場のニーズにチャレンジし、新しい農業・農村づくりの原動力なって欲しい」と激励した。また中家徹・JA全中会長は、いま実施しているアンケート調査について「調査の結果を真摯に受け止め、対話を通じて自己改革を遂行し、組合員から『なくてはならない農協』と評価されるようにしたい」と述べた。
全中会長賞に横田さん(JA鹿本青年部)
千石興太郎賞に信州うえだ青年部
大会メインの「青年の主張」は、全国6ブロックから6人が登壇。JA全中会長賞を得た熊本県JA鹿本青年部の横田大輔さんは「変化と共に~希望の未来人(みらいびと)(後継者)をもてナス~」のテーマで、勤めをやめて、父親のナス栽培を引き継ぎ、青年部やJAのナス部会で仲間とともに、雇用問題やほ場の集約、品種転換、出荷体制などに取り組んだ。こうした「課題を客観的に分析し、提案しながら実践してきた」ことが評価された。
また「活動実績発表」は、同じくブロックごとに選ばれた6組織が発表し、千石興太郎賞を得たJA信州うえだ青年部のテーマは「自・盟・農・地」。元プロサッカー選手とタッグを組んで、食農教育や農作業支援などを行う「かいぶつのたね」プロジェクト、盟友の養豚農家の豚肉加工、真田家由来の赤を使った「真田REDアップル」のブランド化に取り組んでいる。「4つの目標の位置付けが明確で、JA改革につながるものがある」として、審査員の高い評価を得た。
(写真)熊本県JA鹿本青年部の横田大輔さん
2日目に行ったパネルディスカッションのテーマは「JA総合事業フォーラム~JA総合事業は地域農業の原動力~」。JAの総合事業を実感しているか、JAの支所を身近に感じるか、気軽に相談できるJA職員がいるかなどの質問を、会場の参加者に投げかけ、スマートフォンで即時回答することで議論を盛り上げた。総じて8割ほどの肯定の回答があり、これをどう評価するかでさまざまな意見が出た。
大会は最後に大会宣言と特別決議を採択。大会宣言では「農業が持つ食料安全保障機能の重要性がとわれる今、取り巻く厳しい情勢をJAグループとともに乗り越え、一人でも多くの国民消費者に食と農の価値を伝え、安心・安全そして安定的な食料供給の責務を引き続き果たしていく」と、食料確保の重要性を強調した。そのためには食料・農業・農村基本計画の見直しに当たって「食料安全保障を国の基本政策として明確に位置付け、青年農業者が農業経営の長期的な展望を図れるよう、現場の意見に立脚した議論を踏まえつつ、生産基盤の維持・拡大をはかることを強く求める」と特別決議した。
(写真)JA信州うえだ杉山明さん(発表者)
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