「子ども食堂」に近くの直売所から新鮮野菜 JAちちぶでも始まる2020年2月21日
埼玉県では、県庁とJA全農埼玉県本部やJA埼玉県中央会がJAに呼びかけ、各JAが運営する農産物直売所の出荷者から近隣の子ども食堂などに野菜を寄贈する取り組みが始まっている。2月13日には新たにJAちちぶが取り組みをスタートした。
2月13日、埼玉県秩父市にある皆野農産物直売所で行われた贈呈式。
JAちちぶの青葉正明組合長、生産者、
秩父市内で子ども食堂を運営するNPO法人の関係者
この取り組みは、JA全農埼玉県本部(JA全農さいたま)が食品ロスの削減と県内の子どもたちの豊かな成長に寄与するとして、子ども食堂などに野菜を寄贈する取り組みを県内のJAに提案したことがきっかけとなり始まった。
提案に賛同したJA花園が第一弾となり2019年10月から試行を始めた。続いてJA埼玉ひびきのと、JAくまがやが加わった。11月20日に、この3JAがJA花園の農産物直売所で寄贈品贈呈式を行い、JA農産物直売所の出荷者から子ども食堂などへの野菜の提供が本格的にスタートした。
現在は、JA全農さいたまに代わってJA埼玉県中央会が県内JAへの呼びかけを行っている。中央会は県内の全JAを集めた会議に埼玉県福祉部少子化対策局長付企画幹の内田貴之氏を招きJAへの働きかけを行った。その結果が、今回県内で4JA目のJAちちぶの取り組みにつながったという。また現在も複数のJAとの打ち合わせを行っているという。
こうした埼玉県内のJAでの取り組みは、これまで廃棄していた食材をなくすといった食品ロスの削減だけが目的ではない。
子ども食堂を運営するNPO法人などとのネットワークがあり子ども食堂の所在地を知っている埼玉県が、寄贈者(農産物直売所出荷者)と寄贈先の子ども食堂などとのマッチングを行うことで、"直売所の近くの子ども食堂"への寄贈が可能となったことが極めて重要なポイントとなっている。
たとえばJAちちぶでは、同JAにある5つの農産物直売場のうち子ども食堂の近くにある秩父、皆野、横瀬の3つの農産物直売所が取り組みを行っている。
子ども食堂と直売所が近くにあるため"顔が見える関係"を創り出すことができ、子どもたちに食事を提供するだけでなく、生産者と子どもたちが直接接することができる。食べものとそれを生産する農業・農業者とのつながりが子どもたちの目にもはっきりと見える。そうした自然な形で"食農教育"が行われている。これは子どもたちから生産者へ届く感謝の手紙の内容からも分かるという。
埼玉県庁の内田さんは、後継者不足に悩む、農業やJAにとって、子どもたちが農業に関心をもち、彼らが大人になったときに、地域の農業を支えたり、農業経営者になる人が出てくるのではないかと取り組みの発展に期待する。
現在、埼玉県内の各JAが運営する農産物直売所から近隣の子ども食堂などへ寄贈が行われているJAと寄贈先は次のとおり。
◆JA埼玉ひびきの(2019年11月から)
【寄贈先】
▽どんぐりこども食堂(本庄市)
▽ジュニア・アスポート本庄教室(埼玉県の学習・生活支援教室、本庄市)
▽神川町子ども食堂(神川町)
◆JAくまがや(2019年11月から)
【寄贈先】
▽熊谷なないろ食堂(熊谷市)
▽多世代ふれあい食堂HAPPYくまここ(熊谷市)
◆JA花園(2019年11月から)
【寄贈先】
▽ふかやこども食堂まめっこ(深谷市)
▽七つ梅こども食堂(深谷市)
◆JAちちぶ(2020年2月から)
【寄贈先】
▽はらいっぱい食堂(秩父市)
▽ジュニア・アスポート秩父教室(秩父市)
▽多世代ふれあい教室(秩父市)
▽秩父子ども食堂(秩父市)
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