低コスト再造林プロジェクト立ち上げ-全森連と農林中金2020年7月9日
JForest全国森林組合連合会と農林中央金庫は7月9日、植林コストを低減させることで再造林を促進する「低コスト再造林プロジェクト」を立ち上げた。
プロジェクトイメージ図 (資料:農林中央金庫)
わが国の森林は戦後に造林した人工林が中心で、その約半数が植林から50年を超える主伐期を迎えている。伐って再び植える再造林が必要だが、森林所有者の高齢化と再造林コストの高止まりなどで「なかなか再造林に踏み切れない状況にある」(全森連)。
こうしたなか「植える→育てる→伐採(収穫)する→植える」という健全な循環による持続可能な森林・林業経営をするには、再造林のコストをいかに下げるかが課題となっている。
今回立ち上げた低コスト再造林プロジェクトでは、早く成長する樹種で中国原産の針葉樹「コウヨウザン」を活用、低密植植栽して伐期を従来の50年から30年へと短縮させることをめざす。これまでは1haあたり約3000本を植えて、その後、除伐をしていたが、今回は植える苗を最初から約1500本に絞り間伐作業を必要としない施業体系につなげる。
また、コンテナ大苗(育苗用の培土を入れた専用の容器で生産された土付きの大苗)を活用することで伐採と再造林を一体で行う。大苗を活用することで再造林のための地拵えが不要となり、樹高があるため下刈り回数の削減にもつなげる。
プロジェクトは全国3か所(長野県・根羽村森林組合、広島県・三次地方森林組合、宮崎県・都城森林組合)で実証試験を行っていく。農林中央金庫は必要なコスト(約5000万円)を負担する。全森連は「国産材の需要が高まっている時期のプロジェクト立ち上げ」だとして森林所有者への利益還元につなげる。現地では土地条件や所有者の理解などをふまえて実証試験を進める。
プロジェクトは5年間で再造林のコストや再造林後の生育状況など結果を蓄積する。その成果を全国に波及させ、再造林によって森林の多面的機能が発揮されることをめざす。
コウヨウザンコンテナ大苗(出所:一般財団法人広島県森林整備・農業振興財団)
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