医療・介護で「地域共生」協同組合の役割を探る JCAがフォーラム2021年10月4日
日本協同組合連携機構(JCA)は10月2日、「第3回協同組合の地域共生フォーラム」を開いた。協同組合によって医療や介護などによる地域共生のありかたを探ろうとする企画。保健生協や医療福祉法人、ワーカーズコープ、まちづくりグループ、JA女性部などの取り組みの報告と意見交換をした。オンラインで約440人が参加した。
「地域共生」で協同組合の役割を探ったフォーラム(オンライン)
・市場化する介護サービス
基調講演で、スウェーデンの介護サービスに詳しい斉藤弥生・大阪大学大学院人間科学研究科教授は、グローバル化、新自由主義的政策の流れで、普遍的給付を原則としてきた北欧諸国の高齢者介護が市場化と多様化の向きを強めているなかで、日本の地域包括ケアのサービスを評価。特に厚生連や医療生協などによる介護・医療を統合した取り組みにこれからの介護サービスの一つの方向をみる。
・「つながり」諦めず
現場の取り組みでは、広島中央保健生活協同組合が、コロナ禍で人のつながりが薄くなっているなかで、「つながりをあきらめない」の決意で、萎縮せず活動と組織づくりを継続していることを報告。昨年の秋には組合員による、地域の人1000人のいっせい訪問活動を実施。困りごとのよろず相談電話、健康づくり、フレイル(加齢や疾患での衰え)の予防にも取り組んでいる。
・医療と介護の拠点に
中山間地域で医療と介護の拠点づくりを進めているJA長野厚生連富士見高原医療福祉センターは、「地域に寄り添い、ともに歩む医療と福祉の実践」をコンセプトに、(1)専門医療に特化しない、(2)日々の暮らしを健康面で守る、(3)高度医療への橋渡しをする、(4)介護不安を取り除く、(5)障害を負ってもどこかに居場所を、(6)暮らしに最後まで寄り添う――を実践している。
・園児と高齢者が共に
都市部を主なエリアにする生協の活動では、パルシステム東京が、デイサービスと保育園を同居させた施設を紹介。園児と高齢のデイサービス利用者が日常的に交流し、車椅子が普通の光景になっている。また、介護職と保育士の相互理解が自然に生まれている。パルシステム生産者との連携も進んでおり、原木シイタケや梅干し、干し柿づくりにも挑戦し、「食べる」「ふれあう」「あそぶ」を通じて健やかなからだと心を育む取り組みを強めている。
・「みんなのおうち」づくり
一方、ワーカーズコープ(日本労働者協同組合連合会)は、地域に「みんなのおうち」を設け、住民の願いを共に実現する「総合福祉拠点」づくりを進めている。報告のあった北海道余市町のワーカーズコープ「かぜてくらぶ」は、わずか二人の呼びかけで立ち上げた「まちづくり講座」から発展。「かぜて」とは北海道弁で「仲間に入れて」の意味で、やってみたいことをみんなで話し合い実現しようというもの。移動式ピザ窯による講習、子ども劇場や地元の高校生とのミニ運動会、悩みごとをなんでも話し合える喫茶店の運営などを行っている。
・住み慣れた地域で最後まで
また、東京・東村山市ではワーカーズ・コレクティブと生活クラブ東京が連携した東村山地域協議会が活動している。「住み慣れた地域で最後まで自分らしく暮らす」をモットーに、独居高齢者や子育て中の女性の居場所づくり事業、障がい者とともに働く「かいごカフェー」の運営、訪問型介護福祉事業などに取り組む。特に高齢者や住まいに困っている高齢者や障がいを持つ人の支援のため、アンケート調査に取り組む予定。
・閉店のAコープ店拠点に
JAと生協が提携した地域の生活支援では、JA愛知東女性部の「やなマルシェ」がある。八名地区にあったJAのAコープ店が閉店になったとき、生協の地区委員でもある5人が、店舗の軒下を借りる形で「朝市」を提案した。これが弁当や総菜づくりに発展し、地産地消が実現。店舗は「JAプラザ」として、中学校の総合学習の場にもなり、地域の生活支援の拠点になっている。また、八名地区住民の活動団体として「やなまるっ子(と)」を立ち上げ、耕作放棄地を使った「まるっ人農園」も運営している。
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