第3回Z-GIS・ザルビオWEBミーティングinあぐラボを開催 事例やキャンペーン内容を紹介 JA全農2022年12月22日
JA全農耕種総合対策部スマート農業推進課は、2022年12月16日に「第3回Z-GIS・ザルビオWEBミーティングinあぐラボ」を東京・大手町のAgVentureLabで開催した。今回はZ-GISやザルビオの活用事例、実証実験をテーマとしてZoomとYouTubeで同時配信され、JAいわて中央や徳島県の生産者における事例や、開催中のキャンペーンの内容が紹介された。
開会のあいさつをする平野課長
JA全農耕種総合対策部スマート農業推進課の平野課長は、開会のあいさつで「第3回となる今回は、約200名と今年度で最も多くの方から参加申し込みがあった。2022年10月下旬に、ザルビオを開発したドイツのBASFデジタルファーミング社と、フランスとドイツの生産者を視察し、ザルビオが重要な役割を果たしていたことを身近に感じた。日本でも『みどりの食料システム戦略』への対応が急務であり、今後ザルビオの重要性はさらに高くなると考えている。」と述べた。
続いて、AgVentureLabの田中氏が同ラボについて、食と農と暮らしに関わる社会課題を解決するスタートアップを支援するために活動していることと、スタートアップの事業を加速させるプログラムであるアクセラレータープログラムの紹介を行った。
WEBミーティングの内容は下記の通り。
◎Z-GIS・ザルビオ活用ガイド 2022年版
スマート農業推進課では、Z-GISとザルビオの活用事例をまとめたガイドブックを発行しており、2022年版が発行間近であることが伝えられた。Z-GISについては、Z-GISを活用した作業指示や情報共有の効率化、現場における圃場の把握といった事例を、ザルビオについては、ザルビオを活用した収量アップの実現、適正施肥や施肥量抑制の事例を掲載する。
同ガイドブックは、Z-GIS公式ホームページにて掲載予定。
◎ザルビオの実証実験
ザルビオには病害アラートや大豆の雑草管理プログラムの機能が備わっており、水稲を病害アラート通りに防除することで病気の発生を抑えコストの削減を実現できたこと、大豆の雑草管理プログラム通りに防除を行うことで雑草の発生を大幅に防いだことが説明された。
同ミーティングでは、茨城県で行われた水稲の可変施肥の事例について、慣行の均一施肥の場合、追肥のみ可変施肥の場合、元肥と追肥のどちらも可変施肥の場合における結果が報告された。慣行の均一施肥の場合と比較して、追肥のみ可変施肥の場合は1反あたり約22%収量が増加、元肥と追肥のどちらも可変施肥の場合は1反あたり約35%収量が増加したことが説明された。また、収量のばらつきについても、均一施肥と可変施肥では、可変施肥の方がばらつきを抑えられたことも伝えられた。
病害アラートの実証試験の説明では、慣行通りとザルビオの推奨による防除では遜色ない結果だったことが説明された。また、収量についてはザルビオの推奨による防除の方が精玄米重が多く、収量アップを数値で確認できたことが報告された。
大豆雑草管理プログラムに基づいた雑草防除を実施した事例については、生産者の判断とザルビオの推奨に基づいた防除を比較しており、結果としてザルビオの推奨に基づいた防除の方が、雑草であるホソアオゲイトウの発生を抑えられたことが実証されたと説明された。
◎JAいわて中央 米田氏によるZ-GISの活用報告
同ミーティングでは、JAいわて中央 営農販売部 担い手対策課の米田氏によるZ-GISの活用事例が紹介された。米田氏はZ-GISを活用した取り組みが評価され、2022年11月のTACパワーアップ全国大会で優秀賞を受賞している。ある農事組合法人では、圃場が市町村を越えるほど広範囲に散在しており、作業が間に合わずに生育が不安な圃場があるという相談があったことから、Z-GISを導入した。Z-GISで作成したポリゴンデータをJAと共有し、JAの担当者と正確な圃場の位置、各圃場の条件、作業導線の確認をしたことでよりタイムリーな営農指導ができるようになったと説明がされた。Z-GISを導入した結果として、2021年では全体の労働時間が7334時間だったが、2022年では6641時間になり、693時間の労働時間の削減ができたことが実証された。
米田氏はZ-GISについて自由度が高く、Excelでデータの作成、管理が簡単にできることを魅力として挙げた。また、見たままのものを印刷でき、スマートフォンやタブレット端末で必要な時にすぐ確認できるのが便利だと語った。別の法人では、1kmメッシュ気象情報機能による積算気温の計算ができる機能が評価されていることも説明された。
◎樫山農園におけるスマート農機とザルビオによる実証実験の報告
徳島県の樫山農園で行われたスマート農機とザルビオによる実証実験についても紹介された。同実験では、慣行の方法、事前に施肥を行い田植え時に可変施肥を行う方法、ザルビオの可変施肥マップを基に可変施肥を行う方法を比較した。収量の結果として、慣行の方法と比較して、事前に施肥を行い田植え時に可変施肥を行う方法では10aあたり約8%増加、ザルビオの可変施肥マップを基に可変施肥を行う方法では10aあたり約13%増加したことが報告された。
現在行われているZ-GISとザルビオのキャンペーンについても紹介があった。Z-GISでは、新規申込者を対象に4ヶ月無料キャンペーンを2023年3月まで行っている。ザルビオではアクティベーションコードの購入者を対象にJAタウンで利用可能なクーポンを配布している。
なお、次回のZ-GIS・ザルビオWEBミーティングは2023年3月17日に開催予定となっている。
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