JA内部の情報共有やペーパーレス化へ新たなツール導入の動き 生産者との情報交換に活用も2023年4月28日
JA内部の情報共有やデジタル化に向けて、新たなコミュニケーションツールを導入する動きが進んでいる。鹿児島県のJA鹿児島きもつき(下小野田寛組合長)では、ビジネスチャットツール「LINE WORKS」を導入、職員の情報共有やペーパーレス化にとどまらず、組合員の生産者との情報交換にも役立てるなど、積極的なデジタル化を進めている。
JA鹿児島きもつきでツールを活用している画面の例
「本日、台湾に来ています」。地元農産物のPRに台湾を訪問中のJA鹿児島きもつきの下小野田組合長のメッセージが全職員に発信される。使用されているのは、同JAが2021年7月に導入した「LINE WORKS」といわれるビジネスチャットツールだ。
同JAの管内は鹿児島県南部の2市4町にまたがり、本所から最も遠い佐多支所とは40Km以上離れている。職員数は約560人に上り、部署間の縦割りの壁が生まれがちな中、デジタル化を通して組織内のコミュニケーションを深めようと2021年4月にデジタル推進室(現在は管理DX課に移行)を設置。その一貫として、グループチャットや掲示板、カレンダーなどの機能がある同ツールを導入した。多くの職員が使うLINEと連携できる使いやすさなどを考慮したという。
導入から1年9か月。管理DX課の大﨑裕太郎係長は様々な効果が表れたと話す。最も大きな効果は職員同士の情報の共有化。冒頭の下小野田組合長の小まめな発信をはじめ各部署の活動報告がトーク機能で行われるため、他部署への理解も深まったという。例えばある地域で行われた共進会の結果が窓口の職員にも伝わることで、JAを訪れる利用者との会話の話題になることもあったという。
ペーパーレス化も進んだ。紙の書類で行っていた通知文書や会議資料を減らしたほか、毎月1回の定例役員会では、約20枚の会議資料を同システムなどで共有することで紙の資料配布をやめた。この会議だけで毎月400枚ものペーパーレス化につながった。
さらに生産農家とのコミュニケーションの活発化にもつながっている。同JAの農畜産物直売所「どっ菜市場」に並ぶ農作物には、生産者の顔や農作業風景などを見ることができるバーコードが貼られているが、生産者から同ツールと連携したLINEを通じて新たな画像を収集したり、気軽に意見交換もできるようになった。
JA鹿児島きもつきの直売所「どっ菜市場」
同ツールを活用している職員は現在約230人。大崎さんは着実に利用の輪を広げながら、活用の幅も広げたいと話す。「他のシステムと連携して職員の申請手続きなどにも活用できればと思っています。また、テレビ電話機能によるテレワークの導入など職員が働きやすい環境づくりや業務効率化を図っていきたいと考えています」と語っている。
運用会社はJAへのPRにも力点
「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社によると、同ツールの導入はほかのJAにも広がっているという。例えばJA鳥取西部では、生産者からの相談に即応できるように、病害などに関する問い合わせへの対応など生産者へのサポートに活用しているという。
同社マーケティング本部では「LINEと連携できることで組織内の情報共有とともに、農家の方と安心して連絡を取るツールとして活用できることが利点と思います」と話す。同ツールは卸売・小売事業や物流・運送、教育など幅広い業種の約43万社に導入されているが、今後、JAへのPRにも力を入れることにしている。
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