農産物の大規模輸出産地づくり支援へ JAグループが初の合同説明会 全国から125団体参加2023年6月2日
政府が農産物の大規模輸出産地の育成を目指す中、JAグループは6月2日、全国のJAを対象に輸出産地づくりの支援に向けた初の合同説明会を開いた。説明会では、生産者の所得向上につながる輸出の現状や効果をはじめ、国やJAグループの支援体制などを説明し、全国からJAなど125以上の団体から約250人がオンラインで参加した。JAグループは今後、産地の意向を調べるアンケートを実施し、輸出に意欲的な産地への本格支援に乗り出す。
オンラインで開かれたJAグループ連携による輸出産地づくりの初の合同説明会(東京・JAビルで)
合同説明会は、昨年の日本の農林水産物・食品の輸出額が過去最高の1兆4148億円に上る中、農家の所得向上や農業の生産基盤維持に向けて国とJAグループが一体となって大規模な輸出産地の育成を進めようと初めてオンラインで開かれた。全国から70以上のJAをはじめ125以上の団体から約250人が参加した。
はじめに農水省の山口靖輸出促進審議官は、輸出のメリットについて、日本酒やリンゴ、みかんなど日本の輸出品は品目を問わず国内より高く買い取られるケースが多いことを紹介し、「輸出は儲かるのかなと思われているかもしれないが、まずこうしたことを理解してほしい。また、輸出することで豊作時に価格の下落幅が抑制される傾向もある」などと説明した。そのうえで、各国の農薬使用などの規制や流通面などの課題について、政府として各国に輸出支援プラットフォームを設置するなど支援体制が整ってきているとして、「輸出を希望するJAはぜひ声を上げていただきたい。補助金制度などを活用しながら生産基盤強化に取り組んでほしい」と呼びかけた。
JA全農の由井琢也参事は、今後の輸出拡大に向けて、畜産物や米に比べて輸出専用産地が少ない青果物の輸出産地づくりを進めたいと強調するとともに、長期間にわたって海外の小売店の販売スペースを抑えるためにも「産地リレー」が必要だと指摘した。また、全農グループの海外拠点のスタッフは5年間で2倍の約100人に増やしていることを紹介し、「意欲ある産地に対してJAグループが一丸となって多面的な支援をしていきたい」と述べるとともに、産地づくりの支援に向けて人材の育成や鮮度を保持した輸出物流などに取り組んでいることを明らかにした。
産地からはJAいわて中央の横澤勤営農販売部長が、2009年から始めたリンゴの輸出を通して感じた輸出のポイントなどについて報告した。輸出のメリットとしては国内価格の2倍の高値で取り引きされ、農家の手取り単価が全品種平均でキロ当たり107円高いことなどを挙げ、農薬使用などで工夫を重ねながら産地が一体となって輸出を拡大してきた経緯を紹介した。今後の展開としては「海外で県別に販売しているのは日本ぐらい。営農指導力があり農畜産物全般を扱えるJAグループの下で結集し、オールジャパンの取り組みを強力に展開すべきだと思う」と強調した。
JAグループは、7月にかけて全国のJAに輸出産地づくりに向けた意向をたずねるアンケート調査を実施し、意欲のある産地への支援を本格化させる。
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