旅行需要回復で取扱高は2倍超も黒字にはいたらず 債務超過は解消 農協観光2023年6月27日
農協観光は6月27日に定時株主総会を開き、2022年度の事業内容と決算の報告を承認した。コロナ禍からの旅行需要の回復などを背景に取扱高は前期の2倍以上に伸びて赤字幅は大きく圧縮されたが、黒字にはいたらなかった。第三者割当による優先株式の発行、引受などで債務超過は解消し、櫻井宏代表取締役会長は開会のあいさつで「3月31日に債務超過を解消することができた。一日も早い自立的な復活へ向けて歩みを進めていきたい」と述べた。
農協観光の定時株主総会(東京・大手町のJAビルで)
事業報告では、コロナ禍で旅行需要が冷え込む中で策定した事業継続計画に基づき、最小限の事業体制でスタートし、人流制限の解除で年間を通じて旅行需要は回復傾向にあったものの、同社事業の核となる団体企画旅行の回復までには至らなかったとした。
こうした中、鹿児島県で開かれた全国和牛共進会での参加者手配の受託やチャーター機を利用した観光旅行などに取り組むとともに、地域共創事業や労働力応援事業、農福連携事業など、旅行に限定しない取り組みを進めた。
この結果、取扱高は185億3053万円、売上高は76億3045万円といずれも前期の2倍以上の伸びとなり、売上総利益は25億8851万円で対前期比で189%となった。一方、経常損失は6億6304万円、当期純損失は6億8362万円で、前期に比べて赤字は大きく減ったものの黒字にはいたらなかった。これについて同社は「最終的に黒字にならなかったのは残念だが、今年度は2か月連続で目標を達成しており、この調子で進めたい」としている。
また、経営面での喫緊の課題とした債務超過の解消については、今年2月の臨時株主総会で第三者割当による優先株式の発行が承認され、JA全農などの引き受けにより3月30日で解消された。
23年度の事業については、既存のJA活動支援事業の回復と需要のある市場の開拓を進める方針で、農協に関する事業とやや手薄だった首都圏市場の開拓、Web宿泊事業を柱に事業領域の拡大に努める。4月には日本航空との業務提携で兵庫県豊岡市に「JJエリアセンター但馬」を開設し、人流や商流を作り出す拠点としてスタートしたほか、農福連携事業では全国6カ所目となる農福ポートを開設した。こうした取り組みを通して事業計画達成を目指したいとしている。
開会のあいさつで櫻井宏代表取締役会長は「このたびJAグループのご支援のもと増資というかたちで農協観光再生のチャンスをいただき3月31日に債務超過を解消することができた。一日も早い自立的な復活へ向けて歩みを進めていきたい」と述べた。
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