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干し芋生産の独壇場・茨城の最近の話題 残さ利用で焼酎作りや「ほしいも神社」も2024年2月9日

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茨城が何と全国の99%を占める

茨城県の冬の風物詩は何と言っても干し芋づくりだ。干し芋生産の発祥地は静岡県御前崎地方だが、戦後すぐに茨城県が全国トップの生産地となり、最新の国のデータ(2021年)では全国の産出額130億円のうち同県は129億円と、全国の99%を占める。さらに同県でも、ひたちなか市、東海村、那珂市の2市1村で県全体の90%と圧倒的だ。

同地方では北東側から吹く海の潮風が干し芋の乾燥に適し、生産者や指導者の努力と相まって、全国最大の産地となった。

同県では1月10日を「ほしいもの日」に制定し、茨城の干し芋を全国にPRしようと日本記念日協会に登録した。また、高品質な干し芋の生産・供給を目的に、生産者に求める品質基準を定め、優れた製品を県認証ブランドに定め、高単価販売につなげる。品質基準は、水分率20%以上、糖度65以上、色や形状に優れる、HACCP認証など。

さらに、干し芋製造過程で出る皮などの残さを飼料化する事業の支援助成も昨年から始めている。こうした行政の干し芋生産販売の動きに合わせて、干し芋加工業者でも独自の試みを始めている。

サツマイモの皮の乾燥施設サツマイモの皮の乾燥施設

干し芋の残さを菓子や焼酎に

ひたちなか市長砂の永井農芸センター(永井桂一代表)もその一つで、昨年から蒸したサツマイモの皮を廃棄処分せずに乾燥させ、食用に加工する、残さの再利用を始めた。豆腐のおからを粉末化するドラム型の乾燥機で乾燥させ、フレーク状の素材にし、それを粉末化し、菓子の原料に加える。残さ100㎏から30~40㎏のフレークができる。

既にクッキーやパウンドケーキなどを商品化し、直営店で販売している。同センターでは日量500~800㎏の残さが出て、処理費用は1カ月10万円かかっていた。永井代表は「これまで捨てていたサツマイモの皮を工夫すれば新しい用途が生まれる。干し芋に続く収益源にもなる」と話している。

同市阿字ヶ浦町で干し芋加工販売をしている(株)マルヒ(黒澤弘昌社長)は、サツマイモの皮や大きくなりすぎて干し芋に適さないサツマイモ、形の崩れてしまった干し芋などを活用し、3種類の焼酎を製造し、販売を始めた。商品名は「まわる干しいも」。ネーミングは「地球にやさしいサステナブル焼酎」を意味している。度数はいずれも25度、定価は500mlで1500円だ。干し芋を原料とした焼酎はこれまでにもひたちなか農協(現常陸農協)が開発した「へのかっぱ」などがあるが、残さを活用した焼酎づくりは、干し芋産地の課題を解決する有力な手法になりそうだ。

マルヒでは1月から「あなただけの特別な干し芋を作りませんか」と消費者に呼びかけ、干し芋の手づくり体験ができる施設を作った。会場は同社が海水浴シーズンに開設しているビーチガーデンの一室で、同社専務取締役の黒澤一欽さんが指導に当たっている。最初に干し芋の歴史や作り方を映像で紹介し、エプロンや手袋、帽子などの作業着を身に付け、体験にとりかかる。

体験では、予め蒸しておいた約2㎏のサツマイモを使う。イモの種類は「玉豊」か「べにはるか」で、体験者が事前に選んでおく。作業は、ナイフでイモの皮をむき、スライサーを通して薄く切り、用意されたすだれに並べる。

干しいも作りを体験できる干しいも作りを体験できる

すだれに並べたサツマイモは同社で預かり、1週間ほど天日干しし、完成した干し芋を体験者の名前が入ったパックに袋詰めし、送られる。体験できるのは1月から4月までの金、土曜日。

ほしいも神社もできた

マルヒのすぐ近くに「ほしいも神社」がある。2019年創建だから、わが国で最も新しい神社だ。「明治のおいしい牛乳」やガムの「キシリトール」などをデザインしたグラフィックデザイナーの佐藤卓さんがプロデュースした。阿字ヶ浦地域で干し芋づくりを始めた小池吉兵衛や前渡村村長だった大和田熊太郎ら、干し芋の生産・普及に貢献した5人を「ほしいも」の神様として祀り、功績を讃えようと建てられた神社だ。神社境内には小池吉兵衛の胸像があるが、小池は黒澤専務の先祖にあたる。

「ほしいもの」が手に入るほしいも神社「ほしいもの」が手に入るほしいも神社

同神社の宮司を務める宮本正詞さんは「ここにお参りすると、"ほしいもの"が手に入ると全国から年間に数万人の参拝者があり、ひたちなか市の新しい観光名所になっている」と話す。干し芋さまさまの光景だ。

【連絡先】
永井農芸センター 029-285-0988
(株)マルヒ 0120-028056

(本紙客員編集委員 先﨑千尋)

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