こども食堂やフードバンクに農畜産物 富山、三重、秋田のJA 地産地消促進で社会貢献、食育も2024年12月26日
JAが生産者と協力して、地元産の農畜産物をこども食堂やフードバンクに寄贈する取り組みが全国的に広がっている。農畜産物など食料品の値上げが続き、こども食堂やフードバンクは調達に困難をきたしている。こうした環境下でこどもや生活困窮者を支援することは、社会貢献としてだけではなく、地産地消の取り組みでもある。こども食堂への支援は将来の食育にもつながる。
富山県産牛乳を使ったメニューを味わう来場者
JA全農とやまは12月21日から、富山県内の19カ所のこども食堂に県産牛乳200mlを2070本寄贈する取り組みを始めた。学校給食が休止となる冬休み期間中に、家庭で富山県産牛乳を消費してもらうことが目的だ。昨年は県本部のイベントの売上金の一部を寄付したが、地元の農畜産物は初めて。
JA全農とやまの担当者によれば、県内の1日の牛乳生産量約30tのうち学校給食向けは3分の1を占める。冬休みなど休校の期間には「牛乳を加工用に回さざるを得ず、単価が低くなる」。そこで生産者への応援の意味も含めてこども食堂への寄贈を県を通じて実施した。今後も春休みなどの期間に実施したい考えだ。
12月21日に寄贈した富山市の「にながわふれあい子ども食堂」では、約160人に富山県産牛乳を使ったクリームシチューと牛乳をふるまった。高岡市で酪農を営むクローバーファームの青沼さんが駆け付け「冬休みも毎日牛さんのお乳を絞っているので、給食のない日はお家で富山県産牛乳を飲んで、元気に過ごしてください」とメッセージを伝えた。シチューを食べた児童は「あたたかくて、おいしい。家でお母さんと作ってみたい」と話した。
共進会出品のイチゴを寄贈
三重県園芸振興協会(事務局=JA全農みえ営農対策部)は12月19日、「第38回三重県いちご共進会」に出品されたイチゴ400パックを県内の子ども食堂など31団体に寄贈した。県の24年度「子どもの居場所」ニーズ・シーズマッチング事業(事務局=県社会福祉協議会)に登録し、県内の子ども食堂などを運営する団体との間でマッチングが成立した。
同会は23年度から品評会の共進会に出品されたイチゴと梨を寄贈しており、今回で4回目となる。今後も共進会に出品された農産物の提供を続ける考えだ。
当日は津市のJA三重ビルで各団体に贈呈した。同協会の事務局長である新良和也全農みえ営農対策部長は「寒さが増して濃い味のおいしいイチゴに仕上がっている。地元産のイチゴを食べて子どもたちが笑顔になってもらえれば何より」と手渡した。受け取った団体の方からは、「立派なイチゴをたくさん提供いただきありがたい。さっそくクリスマス会で使わせてもらい、地産地消など子どもたちへの食育にも活用したい」とのお礼の言葉があった。
フードバンクあきた林多実代表理事(左)、JA全農あきた椎川浩県本部長
JA全農あきたは11月12日、一般社団法人フードバンクあきたに秋田県産あきたこまち精米600キロとジュース「"のむ"りんご」40箱を贈呈した。JA全農あきたと県内全農グループ会社の職員が家庭で余った食品を集めて支援が必要な人に届ける「フードドライブ」に取り組み、集められたレトルト食品やお菓子、飲料なども提供した。贈呈した県産食材等は、社会福祉協議会等を通じて子ども食堂を運営する団体などへ届けられる。
フードバンクへの寄贈はコロナ下の2020年に「まずは県産の食料支援」として始まり、今後も継続した支援を行う考えだ。JA全農あきたの椎川浩県本部長は「県内の食の支援を求める方々に対し、県産農畜産物の生産に関わり秋田の食に携わる組織として少しでも力添えできればと思い贈呈した。日々の生活に役立ててもらいたい」と話した。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日