新春特別講演会② 地域のつながり大切に 全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長 湯浅誠さん2025年2月6日
2月4日、都内で開かれた農協協会・農協研究会共催の新春特別講演会では、全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長の湯浅誠さんが講演した。以下はその要旨。
こども食堂は昨年、1万ヵ所をこえました。少子化で減りつつある小・中学校の中で昨年、一昨年と年間1700ヵ所増え、全国の中学校より多くなりました。
こども食堂は、こども中心で始めても、お年寄りが来たらどうぞどうぞと受け入れます。こども専用食堂というより「こどもきっかけ食堂」。こどもをきっかけに地域の人々が集まる場です。
「こども食堂はご飯が食べられないこどもが行く場だから、増えるのは不幸なことでは」という人がいますが、それは誤解です。ACジャパンのCMで俳優の松重豊が「こども食堂は、あなた食堂!」と言っているように、誰が行ってもいい、地域みんなが集まる交流の場なのです。子ども食堂は希薄になりつつある地域のつながりを大切にした活動です。
こども食堂を始めた住職は、こども食堂を開く日、子どもやその親に仏様の教えを話せて「冥利に尽きる」と言いました。損保ケアが介護事業所でこども食堂を開いたところ、6割の入居者が参加し、車椅子から立ち上がった人もいるそうです。
奈良県では移住コーディネーターが始めました。見学に来た人を連れていき、街の人たちと知り合う場をつくっておくためです。福井県では、こども食堂の後、こどもたちは隣室で遊び、大人たちは酒を飲みながら地域の話をしています。それもあり、です。
民間ボランティアの活動ですから、開催は月1、2回が多い。少ないと思われるかもしれませんが、月1回の社会的参加があると人の生活満足度は顕著に上がります。居場所で出会ったつながりが地域に染み出していきます。つながりは欲しいけどしがらみは嫌。いまはそういう時代です。「SNS以上、しがらみ未満」には、月1回くらいが受け入れやすいとも思います。
こども食堂はJAのみなさんに多大なご支援をいただいてきました。支所などでこども食堂を開くのももちろん歓迎ですが、規格外の食材の寄付も大歓迎です。
こども食堂は人々をヨコにつなげるだけでなく、「お世話になったお返しをしたい」という気持ちを持つ世代間をタテにつなげます。
私たちはご先祖のおかげで今がありますが、22世紀の人たちはそう思ってくれるでしょうか。下手をすると「あいつら何をしてたんだ」と思われかねません。私たちも「頑張ってたよね」と思ってほしい。そのために今何をしたらいいか。それがSDGsの問題だと思います。
地域の人にお世話になったこどもが、次の地域人材になります。みなさまは農業を通じて取り組まれていると思いますが、こども食堂もぜひ仲間にしていただけると将来の地域のためになると思います。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日