「安定供給は1丁目1番地」 トランプ関税、農産物輸出でも懸念 JA全農が総代会2025年8月1日
JA全農は7月31日、東京都内で総代会を開き、すべての議案を承認、新役員を選任した。総代会後の記者会見で桑田義文理事長は「食料の安定供給が私どもの1丁目1番地。全中と共に、食料安全保障に貢献したい」と述べた。
全農が開いた第49回通常総代会(7月31日、東京都内)
3年連続で事業分量配当
桑田理事長は記者会見で「厳しい事業環境の中、一定の成果が得られ、3年連続で事業分量配当ができた。すべての役職員がそれぞれの持ち場でJA全農ビジョン2030の達成のため力を尽くしていく」と抱負を語った。
総代会では2024年度決算として、取扱高が5兆1286億円、当期剰余金が162億円だったことが報告された。また、利益処分案として、出資配当を計画に2%上乗せして4%(約45億円)とし、事業分量配当を19億円とすることが承認された。
重要課題解決には農水予算増が必須
農政課題については「食料・農業・農村基本法改正を受けた基本計画策定、食料システム法制定、参議院選挙の結果を受け、今後農政の重要課題が広く検討されていく」との認識を示し、農業予算増を求めた。水田政策が見直され、大区画化、共同利用施設の再編・整備、スマート農業普及、輸出拡大などの課題をあげ、「生産者の所得確保・拡大、生産基盤の維持を図る」とした。
トランプ関税については、齊藤良樹専務が「輸入関税が変わらなかったことは政府関係者の努力に敬意を表する。米もMAの枠を広げない。他方、輸出では相互関税15%がこれまでかかっていなかった抹茶などにかかる。影響を分析し関係者と協議していく」と説明した。
備蓄米・輸入米の売れ残り、新米に影響も
今後の米の需給、価格見通しについても齊藤専務が「猛暑や水不足もあり、25年産米の収量は予断を許さない。備蓄米買い戻しがどうなるか、今後の需要動向も見極めが難しい」と述べた。その上で、「国は早く検証を終え需給見通しを示してほしい」と要望。「放出された備蓄米や輸入米が売れ残り、新米と重なると価格にも影響が出ることが懸念される」と述べた。
桑田理事長は、4月に竣工式を行った埼玉県久喜市の冷凍・冷蔵倉庫にふれ、「野菜は旬には必要量の2~3倍も取れて価格が下がり、他方、産地リレーをつないでも途切れる時期が出てしまう。旬に冷凍しておき、切れる時期に出すことで、価格安定と国産シェア拡大をめざす。まだ小さいがしっかり育てたい」と語った。
2030年にむけ輸出823億円めざす
輸出拡大について齊藤専務は、「2015年から24年までに全農グループの輸出は米、畜産、青果物で80億円から237億円と3倍に、同時期に国は7451億円から約1.5兆円と約2倍に拡大した」と説明。「2030年に向けて、国は5兆円(約2.8倍)をめざしている。全農の目標はあくまで目安だが823億円(約3.6倍)をめざす」とした。また、「アメリカの関税、台湾の厳しい残留農薬規制、と畜場の老朽化などさまざまな課題があるが、国とも力を合わせて進めていく」と述べた。
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