11年ぶりに取扱高5兆円台へ 販売価格上昇が主因 24年度 全農決算2025年7月22日
JA全農は7月22日、2024年度の事業実績と経営概況を明らかにした。米など農産物や生活関連製品の販売価格上昇により、取扱高は5兆1286億円となり、2013年度以来11年ぶりに5兆円台となった。計画比、前年比ともに4%増となった。
事業別取扱高は、米穀農産事業が米価上昇で7859億円となり、計画比16%増、前年比11%増となった。園芸事業も同様で計画比7%増、前年比11%増の1兆2966億円。生活関連事業も計画比10%増、前年比4%増の9683億円。
一方、飼料原料相場の下落により畜産酪農事業は前年比、計画比とも4%減の1兆2756億円となった。耕種生産事業は前年並みの8023億円となったが、計画比では2%減だった。
取扱高
事業別内訳
事業総利益は米価上昇などで、計画の935億円に対して959億9500万円の実績となったが、前年実績の973億8400万円には及ばなかった。事業管理費は計画930億円に対して、人件費の増加などで940億3700万円の実績へと増加。事業利益は前年実績には及ばないものの、5億円の計画に対して19億5700万円の実績へと伸ばした。
経常利益は受取配当金の増加などで111億円の計画に対して168億9500万円の実績だった。税引前当期利益は計画114億円に対して実績164億8100万円。法人税等調整額が6億6100万円減少し、当期剰余金は95億円の計画に対して162億4600万円の実績となったが、過去最高額だった前年には届かなかった。
経営収支
2024年度は世界情勢の不透明感が増し、円安による輸入原材料や、人件費の上昇による物価高騰、米の流通の不足感に伴う米価急騰などに見舞われた。農政は、政府備蓄米放出や地域計画の策定などが進められた。こうしたなか、全農は中期事業計画最終年度を迎え、同計画で設定した6つの全体戦略に取り組んだ。
「生産振興」ではスマート農業を推進し、営農管理システム「Z-GIS」は新規ID発行が345で累計IDは2153に拡大。栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」も新規3521のID取得で累計IDは5164と拡大が進んだ。農薬の担い手直送規格の取り扱いは前年比14%増の39万haとなった。
「食農バリューチェーンの構築」では、米の輸送力確保に向けた専用貨物列車やラウンド輸送を実施したほか、首都圏の冷凍青果物リパック拠点が稼働し、冷凍青果物工場も着工した。「JAタウン」は認知度向上の取り組みなどで会員数は14%増の98万人、流通総額は同16%増の43億円となった。政府備蓄米への対応や米生産への理解醸成にも取り組んだ。
「海外事業展開」では、肥料原料の安定調達でりん安が前年比15%増の21万2000t、尿素24%増の18.9万t、塩化加里は1%減の10.3万tとなった。全農グレイングループの飼料原料の安定供給にも取り組んだ。国産農産物の輸出は前年比3%増の237億円となった。
「地域共生・地域活性化」では、ファーマーズ型Aコープを新規3店出店して累計48店舗となった。「JAでんき」の普及では新規が1万7000件で累計9万件に拡大。シロアリ用駆除剤は前年比44%増の416kgを普及した。
「環境問題など社会的課題への対応」では、環境負荷低減に関する技術・資材を体系化した「グリーンメニュー」で48JAが168のメニューを実践。堆肥や回収りんなど国内地域資源を活用した肥料銘柄は前年比28%増の15万tに普及した。
「JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築」では、米穀関連業務の効率化「WEB出荷契約システム」が20県域39JAに広がり、「WEB検査システム」の導入試験は3県3JAで実施された。資材関連業務の効率化「受発注センターシステム」は新規34JAで累計は118JA、「新資材店舗POSシステム」は新規5JAで累計は20JAで導入が進んだ。資金一元管理対象子会社は新規4社で累計6社に拡大した。
人権尊重の実践に向けた「全農グループ人権方針」も策定している。
JA全農は7月31日に東京都内で総代会を開き、24年度の事業実績と経営概況を承認する見込み。
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