地域の未利用資源の活用に挑戦 JAぎふ【環境調和型農業普及研究会】2025年9月8日
8月22日にJA全農が開いた環境調和型農業普及研究会でJAぎふは水稲での牛ふんたい肥の活用による取り組みを報告した。
地域の消費者が求める農産物を地域の生産者が作る「地消地産」を掲げるJAぎふは、管内で発生する牛ふんたい肥を化学肥料代替として活用できないか検討している。
作型は水稲(ハツシモ)+小麦(さとのそら)+大豆(フクユタカ)の2年3作。牛ふんたい肥を10a当たり1.5t投入する。
2023年度はハツシモの試験圃で普通化成肥料を使った慣行栽培と、牛ふんたい肥と緩効性Nたい肥を投入した試験栽培を比較した。
坪刈り収量を比べると、試験区は穂数・一穂数籾数が過剰傾向で登熟歩合が低下し、収量は慣行区に見劣りしなかったが、ふるい下米が増加した。
試験結果について、試験区は初期生育がやや劣り、原因として窒素成分が緩効性のN単肥のみだったことから、初期に窒素の吸収ができなかったことや硫黄欠乏と考えられた。
生育の後半は登熟後期まで葉色が濃く、一部では倒伏もあったという。原因は後半に急激に窒素を吸収したためと考えられた。収量は慣行区並みだったが、初期生育のために速効性窒素と硫黄を補う必要性があることが分かった。
そこで2024年度は牛ふんたい肥と緩効性窒素に加え、速効性の硫安も加えて実証試験を行った。
24年度は牛ふんたい肥の成分分析を行ったところ、10a当たり1t施用すれば水稲では2年分のリン酸、加里を供給できることを確認したため、24年度は牛ふんたい肥は施用しなかった。
試験の結果は、収量は慣行区の10a当たり610kgを下回ったが、548kgを確保できた。速効性の硫安を加えたため、初期生育の遅れを改善できた。ただ、籾数が過多で登熟歩合の低下、千粒重の低下(小粒化)が見られた。原因は幼穂形成期の肥効過剰と考えられることから、近年の高温に適応するようN単肥の改良と施用量を検討する必要があると今後の課題を挙げた。
結果として2年3作の牛ふんたい肥活用の水稲栽培は、減肥しても慣行区並みの収量を確保できた。ただ、早生品種(コシヒカリ等)は、高温対策と高温障害を踏まえたN単肥配合の改良と施用量の適正化が重要と考えられると報告した。
同JAでは環境調和型農業の確立のために未利用資源の活用を検討し、管内の豚糞を使用した有機質肥料を全農岐阜と片倉コープアグリと連携して開発した。有機質肥料「エコベジP721」は散布しやすいペレット状に加工され、水稲、野菜、花きなどに使用する。消費者が求める農産物の選択基準を明確に示したJAぎふ独自の栽培基準にも適合した肥料となっており、同JAはこうした肥料の使用などで地域循環型農業の実現に挑戦していくと報告した。
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