仕事にやりがい、職員を大切にする経営を JA人づくりトップセミナー JA全中(1)2026年1月13日
JA全中は1月9日、オンラインで「JAづくりトップセミナー」を開催した。全国155カ所で約600人が視聴した。
左から、
大島信之JA全中副会長、元広雅樹JA全中教育部長、日本協同組合連携機構(JCA)の西井賢悟主席研究員
同セミナーは、JAの大きな経営課題である人材の確保・定着・育成を進めるうえで、仕事のやりがいや多様な人材が働きやすい職場環境、賃金など処遇といった複数の要素を高めていくため、JAや一般企業の実践を起点に考え、JAトップ層が問題意識を共有し、実践へのリーダーシップを発揮することを目的に開催された。
開会にあたり、人づくり運動推進委員会委員長の大島信之JA全中副会長が、「組織の力は人材の力に他ならない。優秀な人材が協同組合員として成長し、農業経営と暮らしの向上を実現することは我々の使命。その実現には、トップの強い意志と行動が不可欠であり、先頭に立ってリーダーシップを発揮し、より良い人づくり・職場づくりを進めていただきたい」とあいさつした。
人材確保・育成を中期課題に
続いて、元広雅樹JA全中教育部長が2025~27年の「第5次JA人づくりビジョン全国運動」について、重点取り組み課題として新たに加えた「離職・採用難のなかでの人材確保・定着化・育成対策の検討・実践」を中心に報告。各JAの「人材育成基本方針」の見直しを提起した。
見直しでは、人材不足を深刻な経営課題としたうえで、職場環境づくりにおいて「エンゲージメントの向上につながる考え方を整理し、実践につなげる」視点を示した。働き続けたいと思える処遇の実現、デジタル人材の育成、専門性を高めるキャリア設計や異動・ローテーション、経営人材の育成、人事教育部署の体制整備などの具体化を提起した。
JA役職者エンゲージメント調査では、25年度に36県域172JA(うち24年度調査実施120JA、新規52JA)が調査に参加し、「エンゲージメント向上の必要性」の認識が広がっている。一方、「調査後の対応に苦慮」「対応の検討中」などを理由に、25年度調査の見送りや、26年度以降の調査を検討しているJAもあり、「取り組みが進んでいるJAの事例展開などが必要」と述べた。
また、「人材育成基本方針」を策定したJAは354(70.7%)、計画中が49(9.8%)で、計画中の約半数で見直しが実施、または計画されていると報告した。特に「農業・組合員理解」「ICT活用」の強化に加え、新たに人材確保・定着の対策を設けたJAも増えており、「人材育成基本方針の見直しを中期経営計画に落とし込み、着実に実践していくこと」を提起した。
「JA職員でよかった」と実感できる仕事づくり
JCA(日本協同組合連携機構)の西井賢悟主席研究員が、「やりがいを持てる仕事と職員を大切にするJA経営の実現」をテーマに課題を提起した。
西井氏は、パーソル総合研究所の「グローバル就業実態・成長意識調査」をもとに、日本における働く幸せ・不幸せの意識を分析。国際比較で「日本では働きがいの向上が大きな課題で、JAも同様」と指摘した。特に、JA職員にとって最大の喜びは、組合員や地域の人からの「心からのありがとう」であり、「JA職員でよかった」と実感できる仕事づくりが重要だとした。
こうした職場づくりのためには、顕在化した要望への対応だけでなく、「潜在ニーズに気づき、先回りして対応する姿勢が不可欠」と強調。JAぎふの「くらしの相談受付簿」の事例を挙げ、組合員の声を組織全体で共有し、具体策につなげる取り組みを紹介。協同活動に積極的に関わる職員ほど意欲や成果が高まる傾向があり、「組合員のために」ではなく「組合員とともに」実践する経験の重要を指摘。また、何でも相談できるインフォーマルな横のつながりの大切さも強調した。
一方、「管理職になりたくない職員の増加」を課題に挙げた。組織のひずみが管理職に集中している状況を踏まえ、指示を出しすぎない、プレイヤーとして動きすぎないなど「アクションの過剰」を止めることや、事業評価の「タテ・ヨコのものさし」を緩め、成果や仕事の進め方に対する許容度を高める姿勢が必要だと強調した。
最後に、ドラッカーの言葉「マネジメントとは、人のこと」を引用し、「働く人を幸せにする視点こそがJA経営の要」と結んだ。
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