人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
JA全中は1月10日、「JA人づくりトップセミナー」をオンラインで開いた。今回は第30回JA全国大会決議を踏まえた「第5次JAグループ人づくりビジョン運動方針」に基づくキックオフのセミナーとして位置づけられた。全国運動方針を詳しく解説するとともに、人材の確保・育成に向けて日本協同組合連携機構(JCA)からの課題提起、JAあいち知多の実践、岡山県倉敷市にある玉島信用金庫の経営改革と人事戦略の事例を紹介した。セミナーには150JAから約500人が参加した。
開会にあたり、JA全中の大島信之副会長(人づくり運動推進委員会委員長)が「セミナーでの学びを踏まえて、トップが先頭に立ち、各職場の管理職者が力を合わせて人づくりを進めていただきたい」とあいさつした。
JA全中の大島信之副会長
JA全中教育部の中川峰郎教育企画課課長がJAグループ人づくりビジョン全国運動の方針を説明した。全国運動は13年度から開始され、24年度まで3カ年の第4次全国運動の結果、24年4月時点で「人材育成基本方針」を策定したJAは361(70.5%)、計画中は46JA(9%)に高まった。
JA全中教育部の中川峰郎教育企画課課長
現在の課題としては、離職・採用難による人手不足の深刻化が挙げられる。このため、JA全国大会の決議では、組合員リーダー育成や経営人材の育成などに加え「離職・採用難のなかでの人材確保・育成の対応」が盛り込まれた。
第5次全国運動の8項目の重点は次の通り。
(1)JAの人材育成基本方針の見直し
JA職員の離職・採用難が深刻化するなかで①第5次JA人づくりビジョン全国運動方針の策定②JA人づくりトップセミナーによる経営トップ層への動機付け③「人事・教育レポート」(隔月刊)の発行などを行う。
(2)組合員の学びの場の提供・リーダー育成
組合員が主役の事業・組織活動・運営を進めるため、JA次世代組合員リーダー育成のほか、総代や非常勤職員への計画的な教育研修にも取り組む。
(3)協同組合らしい人づくり
JA理念・基礎知識の修得を徹底し、対話活動や支店協同活動、朝礼などを協同組合運動者としての実践的教育機会として位置づけ、積極的な活動を促す。コミュニケーション力向上のために農業実習などのほか副業としての農業従事も検討する。具体策では①JA職員資格認証試験②JAファシリテーター育成インスラクター養成研修会③組合員組織・学習活動担当者育成研修会などを挙げた。
(4)人材確保・定着化・育成対策の検討・実践(新規)
若手・中堅職員の確保、シニア・女性職員のいっそうの活躍、賃金処遇の見直しなどの現状を検証し、人材確保対策を検討・実践を進める。
(5)マネジメント力の向上
支所・支店の再編・大型化をふまえ、職場のマネジメント力向上のため、階層別マネジメント研修やファシリテーションスキル修得、考課者訓練に取り組む。経営理念や事業計画と連携した目標管理制度の活用によるマネジメント力向上にも取り組む。具体策では①階層別研修(JA・中央会人材育成基本研修会、JA階層別マネジメント研修インストラクター養成研修会、JA人事労務研究会研究集会など)②各種セミナー(労働法、人事制度設計、人事制度運用改善、考課者研修インストラクター養成研修)③人事制度・賃金退職金制度改定コンサルティングに取り組む。
(6)経営人材の育成
経営戦略の立案と実践をマネジメントできる人材の育成に取り組み、変化に対応した経営ビジョンや新規事業開発を担う人材育成を強化する。具体策では①JA経営マスターコース②JA経営戦略インストラクター養成研修③企画部課長クラス対象のミライ共創プロジェクト④JA企画担当常務理事対象のJA経営戦略実践プログラム⑤JA常勤役員対象のJA経営ビジョンセミナー⑥JA役員・幹部職員対象のオンラインJAアカデミーなどを行う。
(7)多様な職員が働きやすい、働きがいを感じる職場づくり
個人と組織がお互いに貢献し合える関係づくりに向け、JA内外の実践事例に学び、健康経営の実践に取り組む。
(8)人事教育部署の体制強化(新規)
働き方改革に対応した労務管理と、中長期的観点から実践していく人材確保・定着化・育成に適切に取り組むため、人事部を人事と教育・研修の2課制にするなど体制を強化する。
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