人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
JA全中は1月10日、「JA人づくりトップセミナー」をオンラインで開いた。今回は第30回JA全国大会決議を踏まえた「第5次JAグループ人づくりビジョン運動方針」に基づくキックオフのセミナーとして位置づけられた。全国運動方針を詳しく解説するとともに、人材の確保・育成に向けて日本協同組合連携機構(JCA)からの課題提起、JAあいち知多の実践、岡山県倉敷市にある玉島信用金庫の経営改革と人事戦略の事例を紹介した。セミナーには150JAから約500人が参加した。
【実践報告2】
外部からの実践事例として、岡山県倉敷市の玉島信用金庫の宅和博彦理事長が「人間中心の自律型組織へ」をテーマに、経営改革と人事戦略を報告した。同金庫は2010~19年までに「来店客数が4割減ったが、預金担当者数は横ばいで経費は高止まり」していた。そこで「あるべき姿から溯るバックキャスティング思考で組織風土改革」に着手し、18年4月から協同組織の原点に回帰した長期経営ビジョンを実践している。
玉島信用金庫の宅和博彦理事長
パーパス(企業の存在意義)を「お客さま(会員)の成長と夢づくりの支援」、ミッション(使命)は「お客さま(会員)が抱える社会的課題の解消支援」、バリュー(行動規範)は「提供価値の創造(期待を超える感動) 知識集約型産業への転換」「経営土台の再構築 『経営改革』『営業改革』『人事改革』」とした。そのうえで、人づくりの目的は「人と組織をありたい姿にして、企業の目的実現に向けて最大限貢献してもらうこと」に設定した。
経営の革新は理事長が先頭に立ち、現場の若手社員などとの1対1でのミーティングを中心に対話を徹底。ノルマを廃止し、経営ビジョン実現に向けた貢献度を自己申告するシステムで自己成長の実感を高め、モチベーションも高めた。「若手」「女性」「中途採用」の積極的登用により「年功序列から脱却」し、30歳代での支店長就任は7人、女性支店長6人などを実現している。
課題解決は人と人との関係性を資本と考える「ソーシャルキャピタル」を重視する。様々な社会課題の解決に取り組む企業(会員)を法人コンサルティングで支援する。他の信用金庫や龍谷大学とソーシャル企業認定制度も創設している。
経営改革が実を結び、23年度の収益力(コア業務純益)は過去最高の13億1200万円となり、長期経営ビジョンが始まった18年度との比較では4.6倍となった。
【パネルディスカッション】
伊藤氏、宅和氏の報告を受けて、西井氏の司会でパネルディスカッションを行った。改めてトップの思いを伝え、職員との直接の対話の中で「生きがい」「働きがい」が醸成されること。その根底に協同組合として社会課題の解決に取り組むことで、組合員との関係も強くなること。これらを人事制度として整備していくことが人づくりにおいては重要であることなどが話された。
パネルディスカッション
最後に、中川氏から「第5次全国運動の重点課題8項目の解決のため、年に1回の人事考課だけでなく、若い職員との対話を大事にして欲しい」。西井氏からは「JAあいち知多は20年、玉島信用金庫は10年の積み重ねで、人が育つ組織作りには時間がかかる。待っていては変わらない。今年を人づくりの転機」と呼びかけ、セミナーを終了した。
重要な記事
最新の記事
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【注意報】ピーマンにアザミウマ類 県内全域で多発のおそれ 大分県2025年7月10日
-
【注意報】トマト、ミニトマトに「トマトキバガ」県内全域で多発のおそれ 大分県2025年7月10日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年7月10日
-
【特殊報】メロンにCABYV 県内で初めて確認 茨城県2025年7月10日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】コメ増産こそが自給率を向上させる~輸入小麦をコメで代替すれば49%2025年7月10日
-
【第46回農協人文化賞】地道な努力 必ず成果 経済事業部門・愛知県経済連会長 平野和実氏2025年7月10日
-
【第46回農協人文化賞】全ては組合員のため 経済事業部門・宮崎県農協副組合長 平島善範氏2025年7月10日
-
ジネンジョとナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第348回2025年7月10日
-
【2025国際協同組合年】SDGsと協同組合 連続シンポジウム第4回2025年7月10日
-
備蓄米 コンビニの7割で販売を確認 7月9日時点 農水省調査2025年7月10日
-
【人事異動】農水省(7月11日付)2025年7月10日
-
水稲の斑点米カメムシ類 多発に注意 令和7年度病害虫発生予報第4号 農水省2025年7月10日
-
【JA人事】JA加賀(石川県)新組合長に道田肇氏(6月21日)2025年7月10日
-
【JA人事】JA新みやぎ(宮城)新組合長に小野寺克己氏(6月27日)2025年7月10日
-
「田んぼの生きもの調査」神奈川県伊勢原市で開催 JA全農2025年7月10日
-
「米流通に関するファクトブック」公開 米の生産・流通など解説 JA全農2025年7月10日
-
「おかやま和牛肉」一頭買い「和牛焼肉 岡山そだち」ディナーメニューをリニューアル JA全農2025年7月10日
-
本日10日は魚の日「呼子のお刺身いか」など150商品を特別価格で販売 JAタウン2025年7月10日
-
転炉スラグ肥料がイネの発芽・発根・出芽を促進 農研機構2025年7月10日