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シリーズ:いま伝えておきたい-私の農協運動-

2018.11.08 
「人のために何ができるか」-協同の原点(2)【畠山勝一・JA秋田しんせい代表理事組合長】一覧へ

--平成13年に専務に就任されてからはどんな取り組みを進めてきましたか。

 
 
畠山勝一・JA秋田しんせい代表理事組合長 平成9年に合併してから実は職員を減らすことができないままでしたから、13年に専務になったときには要改善JAになるところでした。そのときに改革断行だということで、まずわれわれの役員報酬を3割カットすると決め、そのうえで職員にお願いすべきことはお願いしなければならないと行動しました。GSやAコープ、自動車関係は子会社を立ち上げてそちらに移ってもらったり、退職金を増額して早期退職を促したりしました。職員だって生活があるわけですから。このとき言ったのが、改革するにはトップが身を切るべきだということです。それで翌年から黒字になり現在まで来ています。
 職員を動かすためには自らが動かなければならないということです。トップが自ら動かなければ人は動かない。徳川家康は、人を責める前に自分を責めろ、と言っています。あの教えがあったから徳川時代は300年近くも続いたと思います。JAは組合員みんなが集まった組織であって、ワンマン経営なんてあり得ないということです。
 具体的な事業では厚生連病院の空きベッドを借りてJAのショートステイ事業を始めました。ベッドが空いているなら賃貸料を支払うから貸してほしいということです。これが農家組合員から喜ばれています。というのは具合が悪くなればすぐに入院できるから。治ればショートステイに戻ってくればいい。家族は安心して頼めるということです。これで農村医学会の金井賞をいただきました。
 ただ今の問題は介護職員不足。当時はJAしかこうした事業をやっていませんでしたが、民間の介護施設もできてきました。そういう意味ではJAは一定の役割を終えたと考えて、介護職員の取り合いのようなことはやめ、今後は民間に委託していくことも考えています。
 それから厚生連病院の再診予約をするのに、JAの支所に立ち寄ればそこで予約できる仕組みも導入しました。地域によって病院に行くのに1時間以上もかかるところがあるわけですから、近くのJAの施設で予約できるようにということです。
 遠い地域の人にとってはどれほど朝早く病院に向かっても、着いたときは近くの人たちがもうずらっと並んでいるわけですね。やはり同じ地域に住んでいるんだから、地域の医療が公平に受けられる仕組みができないかと考えました。協同組合はやはり公平でなければならないということです。

 

◆信頼こそ 

--職員のみなさんには何を強調していますか。

 

 人の信頼を裏切るようなことはやってはいけない、人から信頼されるような行動を起こさなければならないということです。人を裏切るということは自分も裏切られることになると思う。人を信頼すると相手も信頼して付いてきてくれるということだと思います。
 だから組合員に約束したことはきちんと守るようにしなければなりません。できなければその理由をきちんと説明しなければだめだということです。その場では分かった、と言いながら何にもしなければ組合員からあの職員はあてにならないと言われる。できなければできない理由を率直に話すというのがいちばんだと思っています。

 

--一方、農協トップには何が求められると考えますか。

 

 農協という組織ですから、トップは自ら農業をやって現場の声を聞いてその声が分かるようでなければいけないと思ってきました。現場をきちんと分かって、自ら田んぼに行って和牛も飼って、何が問題なのかお互いに共有してなければ組合員はついてこない。だから夏の間は4時に起きます。前の晩、妻から明日はどこの草刈が必要だというようなことを聞かされていますから、それを刈ってから農協に行くようにしています。
 私は最初は農協運動には興味がなかった。ただ、今日話したように地域の先輩の農協理事から、人のためにということを考えなければだめだと言われたことがきっかけでした。今になってみれば協同組合の原理原則が分かったし、お互いに助け合うということが農村にとってはいちばん財産だと思います。自分は農協運動に入って幸せだと思っています。

 

◆農政を検証して

--これからの農協役職員には何が求められますか。

 

 今の農政と現場がマッチしているかということを勉強しないとだめです。それが原点だと思う。今の国政をどう判断したらいいのか、それをきちんと勉強しなければならない。農業政策のいいところ悪いところ、そしてそれに地域の農協がどう関わっていけるのかを含めてやはり勉強しなければいけない。
 今の理事さんたちはもっと政治に関心を持たなければならないと思います。農業は政治に関心を持たなければ。自民党がいいとか悪いとかではなくて、今の政策に対してこれが果たして合っているのかどうか、きちんと評価していかないと農業は絶対廃れていく。
 農家は国民の主食を確保するために懸命に農業をやっている。所得といっても余計な所得ではなく、最低限の所得を求めているわけです。それに関心を持ち何が問題なのか、われわれは何をやらなければいけないかをJAの経営者として考えるということが必要です。

 

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【須藤正敏・JA東京中央会会長に聞く】新たな都市農業をめざしてへのリンクバナー

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