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JAの活動:挑戦! JAの水田農業戦略

「とちぎの星」で組合員に結集力-JAはが野(栃木県)2019年5月15日

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 JAグループは「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」を目標とした自己改革に取り組んでいるが、30年産からの米政策の見直しにともなう水田農業では需要に応じた主食米の生産とともに、飼料用米や加工用米などを政策支援も活用しながら水田をフル活用し、所得を確保することが求められている。栃木県のJAはが野では飼料用米、加工用米など水田活用米穀への取り組みを通じて主食用米の価格安定と生産者手取りの確保に努めている。

栃木県オリジナル品種「とちぎの星」県オリジナル品種「とちぎの星」。
多収性で食味もよく、イネ縞葉枯病への抵抗性などの特性がある。

 

◆情報提供の徹底

 JAはが野(正組合員数1万5699人、准組合員数4542人、平成30年2月末)では平成30年産からの米政策の見直しにあたっては約4000人の米出荷者に対して、計画的な生産の必要性など情報提供の徹底に努めてきた。
 今回の米政策の見直しについて現場では、これからは自由に米を作付けしていい、といった誤解も生まれた。これに対してJAが生産者に向けて作成したチラシのタイトルは「米の生産調整は無くなりません!」である。 そこでは今回の政策見直しとは、国による米の生産数量目標の都道府県への配分はなくなるものの、県と市町村の農業再生協議会が作付参考値(目標)を提示することを解説。さらに「覚えていますか? 平成26年産米の大暴落を......」と題して、過去の米価変動のグラフを掲載、栃木県では適正な米価回復のために飼料用米の作付けに取り組み日本一になったが「飼料用米や加工用米を主食用米にしてしまったら米の価格はすぐに大暴落するかもしれません」と強調している。
 31年産についても「作付参考値をふまえながら計画的な生産に取り組みましょう」と呼びかけ、米価は回復基調にあるものの、一方で米の消費量は年間10万t程度減少していることも強調し、引き続き需要に応じた生産が必要、と情報発信している。
 「JA挙げて計画生産の必要性を呼びかけてきた。農家の経営判断に委ねるしかありませんが、JAから米価情報など示し、需要をふまえて"この米をこれだけ作る"という意識に産地全体として変わっていかなければなりません」と同JA営農部の飯田裕実次長は話す。

 

米の生産調整はなくならないと生産者に情報発信米の生産調整はなくならないと生産者に情報発信

 

◆マンツーマンで出荷契約

 地域の再生協から各生産者に主食用米の作付参考値が示されるのは2月。集落座談会での説明を受けて生産者は3月に営農計画書を提出する。再生協はそれを4月に集計。JAとの出荷契約は5月の中旬に実施する。
 出荷契約は主食用米(品種別)、加工用米、飼料用米のそれぞれで契約する。
 出荷契約はJA職員と生産者がマンツーマンで行う。その際、再生協から提示されている作付け参考値よりも作付計画のほうが多い場合は、需給情報などをもとに適正な生産となるよう話し合う。JAとしては水田フル活用のため飼料用米への転換を重視してきた。
 こうした取り組みの結果、30年産米の営農計画書の集計では、主食用米の作付参考値約7000haを下回る6900haとなった。また、飼料用米は1600ha、加工用米は380haとなった。
 JAとの出荷契約により、30年産米は主食用米33万1000俵(60kg)の集荷となった。また、飼料用米は作付面積1579haで29年産より増加、15万俵を集荷した。また加工用米は3万2000俵を集荷した。
 現在、JAは出荷契約の取りまとめを行っているが、2019年産米の集荷目標は主食用米33万俵、加工用米3万2000俵、飼料用米15万俵としている。
 政府備蓄米についてはこれまでも加工用米の出荷契約分から一部を振り向けることにしており、昨年は8000俵、今年は1万俵を振り向ける方針だ。
 ただ、県全体としては主食用米作付け実績は参考値を上回っており、米政策見直し2年目となる2019年産は米価が高水準で推移していることから、「主食用米への回帰」が懸念されているとの認識で、飼料用米、加工用米による需給調整を推進し、主食用米の価格安定と飼料用米等による生産者手取りの確保に努める方針だ。

 

◆抵抗性品種をブランド化

 JA管内の主食用品種は「コシヒカリ」が68%と主力を占め、「とちぎの星」が22%。そして「あさひの夢」となっている。
 近年、JA管内ではイネ縞葉枯病がじわりと拡大しているという。この病害はヒメトビウンカが媒介するウイルスが原因で、発病するとイネが枯死、穂の出すくみや不稔が発生し、収量が10a当たり5俵以下になることもある。しかも発病してからの治療はできず、県では抵抗性品種への作付け転換を進めてきているが、それが県オリジナル品種「とちぎの星」だ。多収性で食味もよく、イネ縞葉枯病への抵抗性だけでなく、高温期に登熟しても乳白にならないという特性もある。
 また、「あさひの夢」も多収性で飼料用米の品種としてもっと多い。
 これら3つの品種の収穫期は9月に入って、(1)コシヒカリ、(2)とちぎの星、(3)あさひの夢の順となり作業も分散することができる。
 このうちとちぎの星は食味がいいと評価が高く、30年産から系統卸を通じて神奈川県内の小売店を中心に、JAはが野産であることを明記した5kg精米として商品化し販売を始めた。
 地域の米生産力の維持のための抵抗性品種として導入した品種だが、JAとしてはブランド確立に向け、さらに増産を図りたい方針で30%程度の作付けを目標にしている。
 「土台はあくまでコシヒカリですが、その上に需要のあるとちぎの星、あさひの夢を位置づけて生産力を維持したい」と飯田次長は話す。
 とちぎの星の商品化を契機に行政が生産者、卸、バイヤーなどを集め、米業界の動向や試食会などで意見交換するシンポジウムを今年2月に開催した。予想以上に生産者が集まる盛況ぶりで、飯田次長は「自分たちの作った米がどこでどのように販売されているのか、JAとしても生産者の結集には、そうした情報提供がより大切になってきたと感じた」という。
 管内産のコシヒカリは沖縄にも販売されていることや、とちぎの星は大阪でも販売されていること、さらに業務用でも大手コンビニやカレーのチェーン店など、具体的なおもな販売先を組合員に説明していくことが需要になる。
 主食用米の適正な生産のために、よりきめ細かな需要動向と販売先、さらに販売戦略についても組合員に伝え、コミュニケーションを強めていくことがJAにとって重要になっていくのではないか。飯田次長は「作れば売れる、から"選んでももらえる米づくり"へ転換することが必要だ」と話す。

 

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