JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第44回 毒性とは2020年3月19日
今の世の中、自然食品や無農薬野菜、天然や自然をうたい文句にした農産物が多く見受けられます。もちろん、天然ものはすばらしいし、無農薬野菜を作るには、大変な苦労が伴う生産者の思いが一杯詰まっており、それはすばらしいものです。
ただ、天然=安全と単純に理解されるのは、若干事実と異なります。
なぜなら、毒性というものは、「有る無し」ではなく、「強いか弱いか」で判断されるものだからです。
例えば、毎日の食事で体の維持に不可欠な塩です。実は、塩にも毒性があって、塩のLD50値は3000mg/kgです。このLD50値は半数致死量といって、ある量を一度に摂取した場合に半数が死ぬという量を示し、体重1kgあたりの量で示されます。
例えば、体重50kgの人の場合の半数致死量は、3,000(mg/kg)×50(kg)=150,000(mg)=150(g)となります。これは、体重50kgの人間が一度に塩を150g摂取すれば、100人のうち50人が死んでしまうという毒性を示していることになります。ということは、塩は、適量であれば人間が生きていくのに必要な物質ですが、過度に摂取すると毒性を示す、毒の一種ということになります。
それでも、塩は毒だから塩の使用を禁止にしようとはなりません。それは、人間の体にとって必要不可欠なものであるからで、「塩分の取りすぎは体によくない」と適量を上手に摂取するように食べ物を工夫しています。
つまり、毒であっても、きちんと摂取量を調整するようにすれば、人間に役立つものにもなるということです。
医薬品などは、まさにこの典型で、丁度よい量であれば、きちんと病気の症状を緩和してくれるのに、使用量を間違うと命の危険すらあります。その場合でも医薬品を禁止しようとはなりません。利点(=人間の病気を治す)があるから、禁止せず上手に使っていこうということだと思います。
では、農業で使用する農薬の場合はどうでしょうか。
農薬は、作物を病害虫や雑草から守ってくれるという立派な利点があるにも関わらず、毒性の強弱などおかまいなしに「毒だから使うな」となっています。
世の中には、一部の医薬品や嗜好品(タバコ)、かび毒・ふぐ毒といった天然毒など、農薬よりも毒性の強いものが多々あります。農薬には、農作物の生産性・品質を向上し、労力を軽減するという立派な役割や利点があり、使用方法を守って使うことで農作物の安全性は十二分に担保されています。どうもこれらが正しく理解されていないのが現状のようです。
今後は、農業関係者が機会あるごとに消費者に上記のようなことを伝え、正しく理解されるようにしていく必要があるのではないでしょうか。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(2)病理検査で家畜を守る 研究開発室 中村素直さん2025年9月17日
-
9月最需要期の生乳需給 北海道増産で混乱回避2025年9月17日
-
営農指導員 経営分析でスキルアップ JA上伊那【JA営農・経済フォーラム】(2)2025年9月17日
-
能登に一度は行きまっし 【小松泰信・地方の眼力】2025年9月17日
-
【石破首相退陣に思う】しがらみ断ち切るには野党と協力を 日本維新の会 池畑浩太朗衆議院議員2025年9月17日
-
米価 5kg4000円台に 13週ぶり2025年9月17日
-
飼料用米、WCS用稲、飼料作物の生産・利用に関するアンケート実施 農水省2025年9月17日
-
「第11回全国小学生一輪車大会」に協賛「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年9月17日
-
みやぎの新米販売開始セレモニー プレゼントキャンペーンも実施 JA全農みやぎ2025年9月17日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」ダイニング札幌ステラプレイスで北海道産食材の料理を堪能 JAタウン2025年9月17日
-
JAグループ「実りの秋!国消国産 JA直売所キャンペーン2025」10月スタート2025年9月17日
-
【消費者の目・花ちゃん】スマホ置く余裕を2025年9月17日
-
日越農業協力対話官民フォーラムに参加 農業環境研究所と覚書を締結 Green Carbon2025年9月17日
-
安全性検査クリアの農業機械 1機種8型式を公表 農研機構2025年9月17日
-
生乳によるまろやかな味わい「農協 生乳たっぷり」コーヒーミルクといちごミルク新発売 協同乳業2025年9月17日
-
【役員人事】マルトモ(10月1日付)2025年9月17日
-
無人自動運転コンバイン、農業食料工学会「開発特別賞」を受賞 クボタ2025年9月17日
-
厄介な雑草に対処 栽培アシストAIに「雑草画像診断」追加 AgriweB2025年9月17日
-
「果房 メロンとロマン」秋の新作パフェ&デリパフェが登場 青森県つがる市2025年9月17日
-
木南晴夏セレクト冷凍パンも販売「パンフェス in ららぽーと横浜2025」に初出店 パンフォーユー2025年9月17日