JAの活動:今さら聞けない営農情報
SDGs 13【今さら聞けない営農情報】第92回2021年3月6日
17のゴールと169のターゲットが定められたSDGs。「行動の10年」として、国民一人ひとりにできることをしっかりと考え、一歩踏み出す姿勢が求められています。「いまさら聞けない営農情報」では、SDGsのうち農業に関係する項目について、農業関係者がどのように取り組んだらいいのかを考察しています。
今回は、SDGsゴール12番目「つくる責任 つかう責任」を紹介します。
このゴールの意味は、「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」で、11のターゲットがあります。
このターゲットの概要は表のとおりですが、この目標は、農業にとっても重要なものであり、5つのターゲットは主体的に取り組んでいきたいものです。
まず、12.2「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。」です。このターゲットは、文字通り天然にあるものを上手に管理し、効率よく使用するという目標です。
農業場面では、太陽光発電や農業用水を活用した小水量発電、在来天敵等を活用した病害虫雑草管理などがあげられます。これらはすでに一部で実用化されていますが、活用できる地域や範囲が限られ、まだ小面積での活用に止まっています。SDGsの推進を機会に、それぞれの地域・JA・生産者が、活用できる天然資源がないか今一度確認し、活用できるものがあれば積極的に導入してみてはいかがでしょうか。
次に、12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」です。
農産物の場合、市場価格が低迷し、生産・出荷経費より農産物価格が低くなってしまった場合、出荷せずに、ほ場内に廃棄したり、出荷後に病害虫が発生するなど流通段階で廃棄しなければならないことがあります。前者の場合は、計画的な生産や新たな販路の開拓、後者については、徹底した防除の実行などといった対策により改善できますが、農業界だけではなく、消費者全体で取り組まなければならないターゲットだと思います。
次に、12.4「2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。」です。
このターゲットは、単純に言えば、化学肥料や化学農薬、プラスティックマルチの使用削減に取り組むことで達成できます。ただし、これら資材はいずれも、食料の安定供給のためには必要不可欠な資材であり、単純に削減するのではなく、環境影響の少ない資材を使用し、必要最低限を効率よく使用することの方が重要です。例えば、肥料に起因する河川等の富栄養化防止目的であれば、土壌診断に基づく適正施肥を厳守することで環境への影響を減らせます。農薬では、もともと環境影響の大きなものは登録されませんし、登録農薬についても環境影響を極少にする使用方法が提示されており、使用方法を守って正しく使用することにより、環境影響の少ない使用が可能になっています。プラスティックマルチでは、生分解性マルチへの転換などにより環境影響を大幅に減らすことができます。これらは、すでに取り組んでいるものが多いので、今後は環境のことをより一層意識して取り組みを着実に行っていけば、SDGsの目標が達成できるでしょう。
次に、12.5「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」です。これは、農業の場合は12.2や12.4のターゲットと密接にかかわっていますが、このターゲットを実現するためには、よりリサイクル率を高める努力が必要です。
最後に12.b「雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。」です。現在、コロナ禍で観光業が大きな痛手を負っていますが、この観光業に携わる労働力を農業場面での雇用に活かそうという取り組みが進んでいます。観光業と農業が手を組むことで大きなシナジー効果が得られますし、このターゲットの実現にもつながります。
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