JAの活動:今さら聞けない営農情報
みどりの食料システム戦略3【今さら聞けない営農情報】第99回2021年4月24日
「みどりの食料システム戦略」は、農林水産省で検討が進められている日本の食料システム戦略のことで、サブタイトル「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」で表現され、生産から消費までサプライチェーンの各段階において、新たな技術体系の確立と更なるイノベーションの創造により、我が国の食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションでの実現をはかる「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現」を目指しているものです。
前回より本年3月末に中間とりまとめが行なわれた中間とりまとめで示された戦略を紐解いています。今回は、調達、生産、加工・流通、消費の4つのカテゴリーのうち、生産についてご紹介します。
その内容は、「イノベーション等による持続的生産体制の構築」です。
具体的には、6つの取り組みが掲げられており、1つ目が「高い生産性と両立する持続的生産体系への転換」、2つ目が「機械の電化・水素化等、資材のグリーン化」、3つ目が「地球にやさしいスーパー品種等の開発・普及」、4つ目が「農地・森林・海洋への炭素の長期・大量貯蔵」、5つ目が「労働安全性・労働生産性の向上と生産者のすそ野の拡大」、6つ目が水産資源の適切な管理です。
この6つの取り組みには、5つの期待される取組・技術が例示されており、農業界担うべき役割も大きいものです。いずれも、農業分野では既に取り組みが進められているものや、実現間近になっているものも含まれており、今後はそれらを着実に進めるとともに、課題を解決し、より効率の良いものに発展させていきたいものがあげられています。数が多いので、何回かに分けて紹介します。
まず最初が「スマート技術によるピンポイント農薬散布」です。これは、ドローンを活用し、センシングによって病害虫の発生を確認し、特定した発生部位に発見した病害虫に有効な農薬をピンポイントで散布するものです。散布量が少なくてすみ、労力も軽減されることから、実用化の検討が進められていますが、実際の防除効果の検証など実証を重ねていく必要があるようです。
次に、「次世代総合的病害虫管理」です。総合的病害虫管理は、IPMと呼ばれ、抵抗性品種の活用、防虫ネットなどの物理的防除、抵抗植物を用いた線虫防除、農薬による化学的防除など様々な防除手段を効率よく組み合わせて、環境負荷の少ない、持続的農業の実現を目指すものです。このIPMをさらに発展させ、化学農薬のみに依存するのではなく、新たな抵抗性品種の開発や輪作、土づくりといった作物の生育環境を整えながら、病害虫がまん延しにくい健全な環境をつくるなど、「予防」に重点をおいた管理への転換を目指しています。
(次回に続く)
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