JAの活動:農協時論
【農協時論】脱・既存JA 縦横無尽の連携に「何でもすぐやる!」 JA鹿児島きもつき・下小野田寛組合長2023年6月6日
「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならいのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップの皆様に胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回はJA鹿児島きもつきの下小野田寛組合長に寄稿してもらった。
JA鹿児島きもつき 下小野田寛組合長
求められる水平的組織としてのJAグループ
新しい年を迎えて半年を迎えようとしているが、資材高・物価高の動きが現在なお続き、農家の経済状況は厳しさを増している。いつまで続くのか、誰もなかなか見通せない状況である。販売単価にコストアップ分を価格転嫁できない農家の現実が目の前に迫る。この現実をどう打開していくかが農家とチームを組む私たちJAに問われている。
さて、どうしたものか?! これはもう、これまでの私たちの発想と行動を変えていくしかない。これまでのJAは、組合員―JA―県連―全国連と垂直的組織としてJAグループを発展させてきた。いま、より求められるのは、横への動き、水平的組織としてのJAグループではないだろうか!? もっと言えば、鹿児島の偉大な経営者である稲盛和夫氏が提唱したアメーバ経営を実現するような組織体で、それぞれのところでみんなが意思決定してそれぞれのところでどんどん動いていくが、全体として同じ方向に向かっていく、有機体的組織を目指していかないと今の激動の時代に対応できないJAになってしまう。まさに私たちの人体がそうである。脳をはじめ、内臓などそれぞれの器官がそれぞれ判断する中で勝手に動いているが、私たちの生命を存続させる方向性で一致してそれぞれ活動している。
モットーは「何でもすぐやる!」
私たちのJAを有機体的行動ができるJAに変えたいという思いで、常勤理事は3人しかいないが、今年の4月から職員のトップである本部長を9人置き、それぞれの本部長に権限移譲して、それぞれの部門を任せている。今の時代、ある意味で『何でもありの時代・世界である』ので、私たちのJAも『何でもすぐやる!』をモットーに『何でもあり!』のJAを目指し、それぞれの部門で即座に判断し、すぐ動くようにしている。すべてを組合長が判断し、その上で行動するようでは、動きがどんどん遅くなってしまう。農家が求めているのはスピードである。その期待に応えるための組織と"人財"を創っていきたい。
県域超えたJA協定で"学び"
JAの外に向かっては昨年・今年と山形県のJAさがえ西村山と千葉県のJAいちかわとそれぞれ姉妹協定・友好協定を締結した。垂直的なつながりだけでなく、水平的なつながりと広がりを創っていきたいと思い、県域を越えたJA協定を結んだ。日本全国にはそれぞれの産地ならではの素晴らしい産品があり、それらの産品を生産している素晴らしい生産者がいる。二つのJAの産地と生産者にいろいろ学びたいと思い、今月JAさがえ西村山に10人の職員を派遣する。6月はサクランボ収穫の最盛期で収穫作業がたいへんな生産者を少しでもお手伝いできればと職員研修の一環として派遣する。うちの職員にとってもサクランボの収穫作業は初めてのことであり、たいへん貴重な経験になる。JAいちかわにおいてはこれから夏から秋にかけて『いちかわ梨』の収穫を迎える。そこにもぜひうちの職員を派遣したいと思う。
全国のJAが水平的に横につながれば、いろいろと新たな取り組みができる。JAさがえ西村山と昨年お互いの産品をもちより東京で合同の販売会をした。JAいちかわははるか遠くドバイに『いちかわ梨』を輸出している。JAさがえ西村山もリンゴを台湾をはじめとするアジアに輸出している。私たちもいっしょに輸出に挑戦できると期待している。
時代は変わる! 私たちは、脱・既存JAで『何でもありの世界』で勝てるJAを目指す。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(121) -改正食料・農業・農村基本法(7)-2024年12月7日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(38) 【防除学習帖】第277回2024年12月7日
-
農薬の正しい使い方(11)【今さら聞けない営農情報】第277回2024年12月7日
-
水田活用の直接支払交付金 十分な予算を 自民議員が農相に要請2024年12月6日
-
(412)寿司とピザ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月6日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】議論の前提が間違っている~人口問題、農業就業者問題2024年12月6日
-
JA共済連が「隠レア野菜プロジェクト」に取り組む理由 食品ロス削減で地域貢献へ2024年12月6日
-
国産飼料増強 耕畜連携を農業モデルに 企画部会で議論2024年12月6日
-
農林中金がグリーンボンドに300百万豪ドル投資 生物多様化の保全啓発に寄与2024年12月6日
-
鳥インフル 米オレゴン州、テネシー州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月6日
-
JAみっかび「三ヶ日みかん」7日放送のTBS『王様のブランチ』に登場2024年12月6日
-
家畜へ感謝 獣魂祭で祈り JA鶴岡2024年12月6日
-
「秋田県産あきたこまち40周年記念フェア」仙台と銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年12月6日
-
野菜の総括 2024年は野菜にとって苦難の年 タキイ種苗2024年12月6日
-
米を選ぶ理由は「おいしいから」63.1%「お米についてのアンケート調査」日本生協連2024年12月6日
-
熊本県産デコポンPR 東京・大阪で初売りセレモニー JA熊本果実連2024年12月6日
-
「奈良のいちごフェア」9日から開催 ホテル日航奈良2024年12月6日
-
雑穀の専門家を育成「第8回 雑穀アドバイザー講座」開催 日本雑穀協会2024年12月6日
-
埼玉に「コメリハード&グリーン秩父永田店」12月21日に新規開店2024年12月6日
-
アイリスオーヤマ 宮城県と包括連携協定締結 パックごはん輸出で県産米販路拡大へ2024年12月6日