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JAの活動:今さら聞けない営農情報

有機質資材を活用した施肥(37)【今さら聞けない営農情報】第218回2023年9月30日

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みどりの食料システム法が施行され、国内の肥料資源(特に有機質資材)を活用した施肥の重要度が増しています。そこで本稿では、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材を有効活用するために、前回までに各種有機質資材利用にあたって理解しておきたい基本的事項をご紹介してきました。最後にキチン質資材についてご紹介します。

キチンとは、カニ、エビなどの甲殻類や昆虫などの節足動物、および貝などの軟体動物の外殻、あるいは菌類の細胞壁を構成している物質で、カニやエビの殻で10~30%、糸状菌の細胞壁では5~40%程度含まれています。

魚類やカニ殻、エビ殻、シャコ殻といった海獣以外の水産動物由来の原料を粉末にしたものを使用している有機質肥料は普通肥料に分類され、粉末になっていない原型がわかる魚の骨のような有機質原料を使用する場合は特殊肥料に分類されます。

これらは、ゆっくり効く緩効性の窒素質肥料として活用されますが、キチンの施用によって、一部の土壌病害・線虫の抑制や生育促進といった働きも期待されています。

キチンが土壌に施用されると、キチンを分解するキチナーゼを有する微生物が特異的に増加することによって土壌中にキチン分解酵素が多く産生され、それによって土壌病原菌の細胞壁を構成するキチンが分解されることによって、土壌病原菌の細胞壁が機能を発揮できなくなり、病原菌の増殖を抑える作用を発揮します。

病原菌の増殖が抑えられる病害は、イチゴ・ダイコン・キャベツ萎黄病、インゲン・エンドウ根腐病、キュウリつる割病、トマト萎凋病、リゾクトニア菌が原因の病害が知られています。

ただし、これらの病害以外では逆効果になる場合もあるので、病害の抑制を目的に使用する場合には、事前に施用効果を指導機関に確認するなど十分に注意が必要です。

一方、キチナーゼは土壌センチュウにも作用することが知られており、カボチャのネコブセンチュウの寄生が減少し、根こぶの着生が減ることが確かめられています。

また、キチンの分解によって発生するキトサンには抗菌作用に加え、作物生育を促進する効果が知られており、実際にハツカダイコンやバレイショ、カンショ、ニンジン、ニンニク、レタスでは生育促進と品質の向上効果があったことが報告されています。

これらの効果を上手に引き出すには、キチンを分解する酵素であるキチナーゼをつくることができる微生物が増殖しやすいような環境を整えたり、投入するキチン質資材を細かくするといった一手間が必要になります。いずれにしても、使用するキチン含有資材と作物の組み合わせで最適な施用法を十分に確認した上で活用して下さい。

◇  ◇

本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。

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