JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌改良材(4)苦土重焼りん【今さら聞けない営農情報】第223回2023年11月4日
みどりの食料システム法が施行され、国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、特に有機質資材の活用に期待が高まっています。いうまでもなく、作物が育つためには、光、温度、水、空気の他、土壌から栄養素を吸収する必要があります。この栄養を供給する土壌の良し悪しが、農作物の品質や収量を左右しますので、作物の生育に適した土づくりが必要になります。
そのためには、土壌診断を実施して土壌の状態を正確に把握した上で、栄養素の過不足を調整したり、土壌の物理性や化学性、生物性の改善作業を行う必要があります。その土づくりで大きな力を発揮するのが土壌改良資材ですが、その使用目的は、土壌の物理性改善、生物性改善、化学性改善の改善が主で、現在、土づくり肥料の特性や使い方を紹介しています。
今回は、苦土重焼りんです。
苦土重焼りんは、焼成りん肥を原料として製造します。
原料の焼成りん肥は、リン鉱石とソーダ灰(炭酸ナトリウム)を混合して粉砕し、リン酸液加えて造粒します。造粒したものに水蒸気を加えながら1400℃で焼成し、冷却・粉砕してつくります。こうして製造した焼成りん肥に塩基性苦土含有物を加えて粉砕し、リン酸スラリーを添加しながら造粒、乾燥、冷却したものをふるいにかけて製造します。塩基性苦土含有物とともにマンガン原料やホウ素原料を加えて製造したものがBM苦土重焼りんになります。
苦土重焼りんは、速く効く水溶性リン酸と長く効くク熔性リン酸を含んでいるため、生育初期からリン酸を供給し続けるので、作物の生育を初期段階から生育後半まで良好にします。重要なミネラルであるマグネシウムやカルシウム、ケイ酸などを含んでおり、リン酸質土づくり肥料として効果が高い肥料です。
どの作物にも基肥として使用し、水稲の追肥で使用すると有効茎の確保にも効果的です。
稲ワラすき込みほ場では、石灰窒素やケイカルなどとともに施用すると稲ワラの分解を促進します。
稲の育苗で使用すると、健苗育成に役立ちます。
牧草に使用すると牧草の定着を良好にする効果がある他、春の芽立ちを促進し、リン酸とマグネシウムの効果によって品質の向上と収量の増大に役立ちます。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日