JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌改良材(6)ケイカル【今さら聞けない営農情報】第225回2023年11月18日
みどりの食料システム法が施行され、国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、特に有機質資材の活用に期待が高まっています。
いうまでもなく、作物が育つためには、光、温度、水、空気の他、土壌から栄養素を吸収する必要があります。この栄養を供給する土壌の良し悪しが、農作物の品質や収量を左右しますので、作物の生育に適した土づくりが必要になります。
そのためには、土壌診断を実施して土壌の状態を正確に把握した上で、栄養素の過不足を調整したり、土壌の物理性や化学性、生物性の改善作業を行う必要があります。その土づくりで大きな力を発揮するのが土壌改良資材ですが、その使用目的は、土壌の物理性改善、生物性改善、化学性改善の改善が主なもので、本稿では、現在土づくり肥料の特性や使い方を紹介しています。
今回はケイカルです。
ケイカルは、鉄や合金などを生産する際にできる副産物であるスラグ(鉱さい)を原料としています。鉱石に石灰石やコークス、ドロマイト、硅石などを加えて高炉や電気炉で溶融させ、発生した鉱さいを冷却、ふるい分けして製造します。
原料によってできる種類があり、主に製鉄鉱さい、転炉さい、普通鋼鉱さい、シリコンマンガン鉱さいといったものが発生します。含有成分は、ケイ酸、カルシウム、マグネシウム、アルカリ分、マンガン、鉄であり、それぞれの含有量は鉱さいの種類によって異なっていますが、いずれの鉱さいもケイ酸とカルシウムを大量に含んでいます。
その主要成分の1つであるケイ酸は、岩石を構成する成分であるため溶解しにくく、岩石のままでは作物が吸収利用する割合はかなり少ないものです。
この岩石を原料に溶融などによって生産されたケイカル中のケイ酸は、土壌中の炭酸や有機酸など薄い酸に溶けて、作物が吸収できる有効なケイ酸になります。この有効なケイ酸が土壌中で増加すると、アルミニウムなどによるリン酸の固定を抑制して、リン酸の効きをよくします。
イネ科植物、特に水稲は多量のケイ酸を吸収し、吸収されたケイ酸は水稲の表皮細胞に沈着して組織を強くして、倒伏がしにくくなり、病害虫が侵入しにくい稲体をつくります。
さらに、草姿が直立して受光態勢が良くなって光合成の効率が高まって養分の集積が多くなることから、玄米中の窒素濃度を高めずに収量を多くすることができるので良食味米の生産につながります。
また、ケイカルに含まれるアルカリ分が畑土壌での酸度調整に役立つほか、カルシウムやマグネシウム、鉄、マンガンといったミネラルの補給にも役立ちます。
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