JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(9)【今さら聞けない営農情報】第239回2024年3月2日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋を提示するために必要なため、土壌診断の基礎知識の1つとして土壌診断項目の内容と意義について紹介しています。今回は、塩基類です。
塩基とは水に溶けた時アルカリ性を示す性質を持つもので、土壌における塩基とはカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)のことを意味し、これらを総称して塩基類といっています。
塩基類は、不足すると作物の生育に大きな影響を与えます。
例えば、カルシウム(Ca)は作物の細胞壁の結合や細胞膜の形成、根の生長促進に関与していますし、マグネシウム(Mg)は葉緑素の構成成分であり、光合成に関与しています。また、カリウム(K)は光合成および炭水化物の蓄積に関与し、開花結実の促進という作用をします。これらの塩基類が不足すると、前述した作用が十分に機能しなくなり、作物は健全に育つことができなくなります。
このため、塩類が不足しないように適宜追加してやる必要があります。ただし、1つの塩基が過剰になると他の塩基の吸収を阻害してしまう点に注意が必要です。
例えば、マグネシウムやカリウムが過剰な土壌の場合、カルシウムの吸収が抑制されて根の生長を妨げたりします。また、カリウムが過剰だとマグネシウムの吸収が抑制されて葉緑素の生成などに影響がでますし、カルシウムやマグネシウムが過剰だとカリウムの吸収が抑制されて青枯れや葉焼けを起こしたりします。
このように、塩基類は1つの塩基の過不足だけでなく、他の塩基濃度とのバランスを適正に保つ必要があります。近年は塩基類が過剰気味な圃場が多いので、特に生育に問題がある圃場では、きちんと土壌診断を行った上で、現状の塩基類濃度を正確に把握して正しく改良することをお勧めします。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】冬春トマトなどにコナジラミ類 県西部で多発のおそれ 徳島県2025年11月7日 -
米の民間4万8000t 2か月で昨年分超す2025年11月7日 -
耕地面積423万9000ha 3万3000ha減 農水省2025年11月7日 -
エンで「総合職」「検査官」を公募 農水省2025年11月7日 -
JPIセミナー 農水省「高騰するコスト環境下における食料システム法の実務対応」開催2025年11月7日 -
(460)ローカル食の輸出は何を失うか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年11月7日 -
「秋の味覚。きのこフェア」都内の全農グループ店舗で開催 JA全農2025年11月7日 -
茨城県「いいものいっぱい広場」約200点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月7日 -
除草剤「クロレートS」登録内容変更 エス・ディー・エス バイオテック2025年11月7日 -
TNFDの「壁」を乗り越える 最新動向と支援の実践を紹介 農林中金・農中総研と八千代エンジニヤリングがセミナー2025年11月7日 -
農家から農家へ伝わる土壌保全技術 西アフリカで普及実態を解明 国際農研2025年11月7日 -
濃厚な味わいの「横須賀みかん」など「冬ギフト」受注開始 青木フルーツ2025年11月7日 -
冬春トマトの出荷順調 総出荷量220トンを計画 JAくま2025年11月7日 -
東京都エコ農産物の専門店「トウキョウ エコ マルシェ」赤坂に開設2025年11月7日 -
耕作放棄地で自然栽培米 生産拡大支援でクラファン型寄附受付開始 京都府福知山市2025年11月7日 -
茨城県行方市「全国焼き芋サミット」「焼き芋塾」参加者募集中2025年11月7日 -
ワールドデーリーサミット2025で「最優秀ポスター賞」受賞 雪印メグミルク2025年11月7日 -
タイミーと業務提携契約締結 生産現場の労働力不足の解消へ 雨風太陽2025年11月7日 -
スマート農業分野の灌水制御技術 デンソーと共同で検証開始 ディーピーティー2025年11月7日 -
コクと酸味引き立つ「無限エビ 海老マヨネーズ風味」期間限定で新発売 亀田製菓2025年11月7日


































