JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(10)【今さら聞けない営農情報】第276回2024年11月30日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
農薬を正しく使用するためには、これら剤型の性格をきちんと把握しておく必要があります。なぜなら、剤型によって作物への付着具合が異なり、有効成分の作物への付着具合が農薬の効果に大きく影響するからです。現在、その剤型ごとにその特徴と正しい使用方法、使用上の注意事項を紹介しています。
前回から製剤をそのまま散布する製剤をご紹介しており、今回はその5つめのジャンボ剤です。
5.ジャンボ剤(略記号:J またはジャンボ )
粒剤に水中で自己拡散する機能を与えた製剤で、25~50gの粒剤を水溶性のパックに包み、そのパックを10aに10個程度手散布する水田用の製剤です。従来の粒剤の散布法に比べると大幅に労力が軽減されます。ジャンボ剤の製品数は、水稲用除草剤が圧倒的に多く、その他は殺菌剤に一部ある程度です。
ジャンボ剤の水溶性パックは、水に触れるとフィルムが溶け、中の拡散性粒剤が水面を拡散して水田内を均一に広がります。このため、十分な水深(最低3~4cm以上)が必要で、田面が露出していたり、水深が浅い部分などでは、有効成分の拡散不良により局所的に有効成分が高濃度になって水稲に薬害を発生させたり、有効成分の拡散不良により十分な量の有効成分が田面に届かずに効果不足を起こすことがあります。
また、水面に藻類などが繁茂していると、藻類が邪魔をして薬剤が拡散せず、効果不足や薬害を起こすことがありますので、ジャンボ剤の効果を安定して得るためには、藻などの発生がなく田面が綺麗にみえており、かつ水深が十分であるかどうかに注意して下さい。
ジャンボ剤の自己拡散できる範囲には限りがありますので、定められた単位面積あたりの散布個数を田面内でできるだけ均一になるよう等間隔で投げ入れるの効果を安定させるコツです。
田面の均平度が悪く土壌が露出しているような箇所にジャンボ剤が落ちる(座礁する)と落下地点周辺の効果が期待できないばかりか、座礁地点で薬害が発生しますので、ジャンボ剤を使用する場合は土壌の均平度にも気をつけて下さい。
(つづく)
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