JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(16)【今さら聞けない営農情報】第282回2025年1月25日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考え、まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
前回までに、農薬の剤型について紹介し、それぞれの剤型の特徴と正しい使用方法、使用上の注意事項を学んで頂きました。
今回より、前回までに学んだ製剤を上手に使うためのコツなどを整理してご紹介していこうと思います。
そのことの理解を進めるためには、なぜ製剤が必要なのかを把握しておくとよいと思いますので、まずはそれをご紹介します。本来、製剤の剤型をご紹介する前に"何故製剤が必要か"をお話しておいた方がよかったと思いますが、順序が逆になりましたことご容赦下さい。
農薬は有効成分が対象とする病害虫雑草に接触してはじめて効果を発揮しますので、原理的には有効成分を均一に作物に散布すればいいことになります。ところが、農薬の有効成分の多くが10aあたりの農薬成分そのものの投下量は多くなく、数グラムから数十グラム程度なので、それだけ少ない量を広いほ場に均一に散布することはかなり難しくなります。
例えば、有効成分を20%含むA水和剤を1000倍希釈で10aあたり300ℓ散布する場合、A水和剤の有効成分が10aあたりに散布される量はどの位になるか計算してみようと思います。 A水和剤の1000倍希釈液(散布液)を300ℓ作るときにA水和剤製剤の必要量は、次のように計算します。
① 希釈液300ℓのグラム数は、300(ℓ)×1000(1ℓは1000g)=300,000(g)
② これを1000倍に希釈するために必要なA水和剤の製剤量は、300,000(g)÷1000=300(g)
③ A水和剤300gに含まれる有効成分量は、300(g)×0.2(20%)=60(g)
つまり、A水和剤の場合は、原理的には10aあたりに60gの有効成分を均一に散布することができれば効果を発揮することになります。
ところが、10a(=1000㎡)あたり60gということは1㎡あたり0.06gとなり、その少ない量の有効成分を1m四方の面積に均一に散布することは無風状態であっても極めて困難です。ましてや、作物が栽植されている場合は、作物体全体に均一に散布する必要があり、その際には、作物自体の表面積が増えるためさらに難しくなり、もはや物理的に不可能です。
このため、多くの農薬は有効成分にキャリア(増量剤)に有効成分を均一に混ぜて散布しやすくしています。これが農薬の製剤であり、製剤は農薬散布には無くてはならない存在なのです。
(つづく)
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