JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(21)【今さら聞けない営農情報】第287回2025年3月1日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考え、まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
前回までにドリフトのメカニズムと対策法について紹介しました。農薬が十分な効果を発揮するためには、その有効成分が病原菌や害虫、雑草に直接作用する必要があり、そのためには、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸収させる必要があります。特に、水に希釈して散布する水和剤や乳剤、液剤、フロアブル剤などは作物への付着具合が防除効果に大きく影響します。
そこで今回から、この水で希釈して使用する製剤を効率的に付着させる方法について整理してみようと思います。
1.希釈薬液の作物への付着とは?
そもそも薬液が作物に付着するとは、噴霧ノズルから噴出された平均200~300㎛の農薬の有効成分を含んだ小さな水滴が作物の表面にくっつくことをいいます。そうしてくっついた水滴に含まれる有効成分が作物の葉や茎や花などの表面を覆ったり、作物組織の内部に浸透したりして、病害虫や雑草に効果を示します。 ただ、この付着は一筋縄にはいきません。なぜなら、作物の表面は、ワックス層で覆われていたり、産毛が生えていたりと、とにかく水をはじきやすいものが多いからです。このことは、イネの葉やネギの葉を思い浮かべれば容易に想像できると思います。このため、水希釈の薬液は、このような濡れにくい作物の場合は散布しても大部分が流れ落ちるばかりで、作物上に残ってくれるのはごくわずかということになってしまいます。
2.作物の付着向上に展着剤を正しく使用
そこで登場するのが展着剤です。展着剤は、界面活性剤の主成分は、油に溶けやすい部分と水に溶けやすい部分の2つを併せ持っており、作物表面に油に溶けやすい部分がくっつき、そのもう一方の水に溶けやすい部分が薬液の水滴をくっつけて、水をはじきやすい作物を濡れやすくしてくれます。この性能のことを湿展(ぬれ)性といいます。この展着剤のぬれ性は、展着剤の濃度が濃ければたくさん付着するというものではなく、、展着剤の量が少ないと十分に発揮できないし、量が多すぎると逆に薬液がしたたり落ちるようになって付着量が少なったりしまうこともあります。このため、展着剤の製品ごとに指定されたほど良い量を守って使用する必要があることを覚えておいて下さい。
(つづく)
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