JAの活動:プレミアムトーク・人生一路
"強い農協"仲間と共に 元JA熊本経済連会長・上村幸男氏(1)【プレミアムトーク・人生一路】2025年6月19日
農協青年部、そして農協・県経済連のトップとして、リーダーシップを発揮した上村幸男氏(80)。激動の時代の中で若い頃から見聞を広げ、農業教育の大切さを訴え、熊本を畜産、青果の一大ブランドに育てた。仲間と歩んできた軌跡を振り返る。聞き手は文芸アナリストの大金義昭氏。
元JA熊本経済連会長 上村幸男氏
■お生まれは1944年9月、一級河川の白川が町の中南部を西に流れる熊本県菊陽町です。
阿蘇くまもと空港の近くで、台湾企業のTSMCが進出し、にわかに注目されています。農地の減少や地下水不足などが懸念される一方、地価が高くなって後継者が増えるような一面もあり、巨大な工場進出などと共存し、どうやって農業や農地を守っていくか。農協も行政もこれまで以上に工夫していかなければいけないと感じています。
戦中は養蚕が盛んでしたが、戦後は多くが葉タバコに切り替えた大産地でした。白川沿いの肥よくな土地で、私が5代目くらいかな。父親は営農に取り組みながら町議も務めた。それが嫌で!(笑)。人の世話に明け暮れる父親を支えた母親の苦労を見ていましたから、「役は引き受けん!」と決めていたのですが。(笑)
■中学校を卒業し、県立菊池経営伝習農場で学んだ。
中学の先生は高校進学を勧め、私も行きたかった! でも、祖父が「ダメ!」のひと言でした。伝習農場は全寮制で、県下から集まった120人が作物を育てながら学びました。場長の工藤正人さんにはオランダ農業を教えてもらった。
伝習農場を経て就農し、20歳の時に「野菊会」を立ち上げた。人の世話が嫌いな私が旗振り役になり(笑)、農業を継いだ同級生30人くらいの集まりでした。農業改良普及員の先生などを呼んで話を聞き、酒を飲む。その後は夫婦同伴でコロナ禍まで続きました。
■70年に文子(ふみこ)さんと結婚される。
友人の結婚式で、お互いに"心惹かれる"出会いでした(笑)。新婚旅行から戻る予定便の席が取れず、前夜の最終便で帰宅したのですが、翌日の便はハイジャックされ、乗っていたらどうなっていたやら。びっくり仰天のスタートになりました。
初めての愛車、ダイハツ「コンパーノ」(昭和42〈1967〉年頃)
■読書が趣味だとか?
宮本武蔵や高杉晋作の話が好きです。農協青年部長になって、高杉晋作の「功山寺決起」をテーマにした芝居に関わった。「はぐるま座」という劇団を山口県から呼ぶためにチケットを売り歩きました。農協の女性部や商工会も巻き込み、心を揺さぶられる熱演で盛り上がり、その後劇団が九州を回るきっかけになりました! 何か喝を入れられた心境でした。
■31歳でしたね、菊陽町農協青年部長になったのは。
畑も忙しかったんですが、"肝っ玉母さん"だった母親に背中を押された。その後は県委員長を務め、「ソフトボールと焼酎を呑んでの仲間づくり」から「学習する青壮年部になろう」と決議。ただ、ソフトボール県大会をやめたことには仲間から猛反発された!(笑)
農協、米価などの農業に関する政策もよく理解しておらず、「学習なくして組織活動なし!」と考え、『日本農業新聞』の皆読を進め、『家の光』や『地上』を普及しました。
NHKの「青年の主張」のような"農協版"を全青協に提案したのですが実現せず、熊本県で第1回を開き、九州に広げました。
農協って何なのか。政策はどうなっているのか。「主張」に出場する前に、農協の課長からみんなで話を聞いて勉強しました。それが全青協のイベントに発展した!
■82年には全青協の海外研修で米国へ。
米国では農業が一つの産業として位置づけられ、国策として輸出に取り組んでいた。大規模な複合経営にも目を見張りました。
熊本で85年に発生した「辛子レンコン中毒事件」では、業者や県の責任を問う患者団体が生まれ、訴訟の構えを見せていました。県からの相談もあり、県民が100円ずつ募金して1億円を集め、患者の皆さんにお詫びをしようと100以上の団体を集めて熊本青年県民会議を立ち上げ、私が議長を務めることになりました。
街頭に立ちテレビにも出て、各団体がフル回転で5000万円を超えたところで持参し、最後には目標としていた1億円に達し、熊本県民の誠意をお伝えして訴訟なしの和解に至りました。
「こころひとつに」を実感した、大きな出来事でした。
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