JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(54)【今さら聞けない営農情報】第320回2025年10月18日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。前回までに、各種剤型の特徴と散布方法について、特に農薬の製剤に焦点をおいて農薬の正しい使い方のヒントをご紹介してきました。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。前回から農薬を選ぶにあたっての病害虫の生態に合わせた選び方や使い方をご紹介しています。
病害虫防除で重要なのは第1次の伝染・加害を防ぐことであり、そのためには病害虫の潜む場所に農薬をうまく届かせる必要があります。このことを実現するためには農薬の性質に合わせて散布方法を選ぶことが必要で、特に濡れにくい作物の場合は展着剤を加用するなどの工夫が必要だと前回紹介しました。
今回から病害虫雑草の生態に合わせた散布の考え方をご紹介します。病害虫雑草の生態は、病害と害虫、雑草では大きく異なりますので、別々にご紹介することとし、まずは病害についてです。
病害はご存じのように、病原菌が作物へ感染・増殖して被害を起こします。病原菌には、大きく分けて糸状菌(かび)と細菌、ウイルスの3つがあります。ウイルスは厳密にいえば菌とは異なりますが、作物に感染して病害を引き起こすことには変わりありませんので、ここではウイルスも病原菌として扱います。
まずは、作物の病原菌の9割を占める糸状菌(かび)が引き起こす病害についてです。糸状菌は、その多くが胞子と呼ばれる繁殖器官を持っており、それが放たれて、空気を介したり、水を介したり、土壌を介したりして作物表面に付着し、それが発芽して作物体内に侵入した後に作物から栄養を吸い取りながら糸状の菌糸を伸ばしながら増殖します。発病が拡大してくると、菌糸の先に新たな胞子をつくり、これをさらに飛散させて新たな作物に感染します。このようなサイクルを繰り返して蔓延していくのですが、一番効率よく防除できるのが感染サイクルの最初の第一次伝染の時なのです。次回以降にその理由をご紹介します。(つづく)
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