JAの活動:年頭あいさつ2015
古谷 周三 氏((株)農林中金総合研究所 代表取締役社長)2015年1月1日
平成27年の年始にあたり、JAグループの研究機関よりJAcomに寄せられた年頭のごあいさつを紹介します。
地域農業・協同組合への無理解を懸念
議論の素材提供と情報発信を強化
明けましておめでとうございます。
昨年は良くも悪しくも農業・農村・農協をめぐる議論が活発に行われた年でした。
◇ ◇
一昨年、アベノミクスの「第三の矢」=成長戦略に発し、「攻めの農業」「農業農村所得倍増」等の理念的・スローガン的な戦略が掲げられて以来引き続く議論です。様々な“有識者”による「日本農業はこのままでは崩壊する」という悲観論と、「やる気とやりようでは成長産業だ、規制緩和=企業参入が解だ」という楽観論が交錯しています(これらは同根)。
ただ、これらの議論は、往々にして戦略論・方法論が先行し、いずれも農業・農村の現場の実態、抱える課題、持っている可能性と限界を客観的に直視し、地域から組み立てていく視点が欠けている感が否めません。
◇ ◇
担い手の中心たる家族農業をどう位置づけるのか、そういった根っこの議論も素通りしています(因みに昨年は国連の定めた「国際家族農業年」であり、当研究所は国連機関の「家族農業が世界の未来を拓く」を翻訳・出版しました)。
地域の多様性に応じて、どんな農業、どんな地域を目指すのか、それを誰が担い、誰が支えるのか、そういった共通像が地域から内発的に持ち上がってこなければ実際の答えは出ないでしょう。一律の、理念的な、型にはまった「改革案」では絵に描いた餅です。
◇ ◇
農協のあり方についての議論も然りです。農協は現に地域と農業にどういう役割と貢献を果たしているのか、まずは客観的な実態評価、特に組合員・地域による評価が必要です。そのうえで、さらに一歩「農業と地域の活力創造」に対して農協は何ができるのか、必要な改革は何か、が議論されるべきでしょう。
残念ながら、現在進む改革議論には地域農業と協同組合に対する半ば意図的にすら感じられる無理解があるように思います。ICAがこうした日本の議論に懸念を示しているのは周知のとおりです。
◇ ◇
このように昨年を振り返ると、「調査研究機関の出番」という気がします。視座のぶれない調査研究の重要性への思いを新たにしています。
まずは、多様な農業・農村の現場実態、農協はじめ地域組織の活動実態の把握です。同時に、課題を海外ではどう整理しているか、過去の議論や研究はどうなっているか、等を通じ現在の日本の課題を客体化する視点も必要でしょう。
農林水産業、協同組合、震災復興、経済金融の各分野について、内外の研究者とのネットワークも生かしつつ幅広い調査研究を深めたいと思っています。
今年は「協同組合を核とした地域再生」を基調テーマとする当社中期計画の最終年となります。現場調査と複眼的な研究をもとに、農業関係者のみならず広く世の中に対し議論の素材提供と情報発信を行っていきたいと思っています。
今年も皆様のご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
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