JAの活動:第63回JA全国青年大会特集号
善積智晃JA全青協会長に聞く2017年2月9日
誇り持ち農業と青年部活動を
全国農協青年組織協議会
善積智晃会長
第63回JA全国青年大会は2月14日、15日の2日間、東京都内で開かれる。スローガンは「ニッポン農のチカラ-新たな挑戦」。大会を前に、ポリシーブック活動の今後の課題、農業政策と農産物貿易交渉に求めること、農協改革への青年組織として取り組みなど、善積会長に考えを聞いた。
◆PB活動は仲間づくり
6年前から本格的に取り組んでいるポリシーブックの活動は、行政や政治家など対外的に評価され情報発信、広報活動の一環としても活用されていると思います。ただ、作成していない組織もありまだ温度差があります。
この活動の意義は、地域や自分の経営の現状を見つめ直すことです。そこから課題は何かを考え、それを仲間と話し合う。組織の団結や仲間意識を生み出すこともこの活動の意義であり、盟友のみなさんにもそこに気づいていただきたい。
最初から政策提案を作成するのは難しいと思いますが、自分の経営や地地域の課題など、人前で話すスキルアップにもなります。やはり単組で作成するポリシーブックが現場に近くいちばん有効ですから、地域の実情に合わせたポリシーブックをめざしていけばいいと思います。
課題としてはもっと説得力を持たせるよう自分たちで具体的な数値やデータなどを盛り込んでいくことと、有効に活用するためにPDCAサイクルを回していくことです。JA全青協としても全国で活用できるよう28年度中にPDCAサイクルのポイントを整理していきます。
◆地域政策も重視して
国は農地集積や規模拡大路線を推進しており、この方向で発展できる盟友にはがんばってほしい。しかし、一方で日本は家族農業が基本です。昔から家族農業が地域を支えてきました。産業政策としての農政は若手農業者が伸びていくためにはもちろん必要ですが、中山間地域や条件不利地域にもしっかりと目を向けた地域政策も実践していただきたいと思います。
また、経営支援策としてはやはり適切な価格形成です。多くの生産者には価格決定権がありません。国産農産物が適正価格で流通される仕組みは自給率向上の面からも大事です。農業者は国民の命の源である食を担っています。そこをしっかり見据えた政策を確立してもらいたいと思います。
国民の生活が脅かされる内容のTPPには、われわれは一貫して反対しており、ここに来てアメリカが離脱宣言したことでTPPは無効になるのでしょう。しかし、二国間交渉など貿易交渉は常にあると思います。ただし、現在交渉中の日・EUのEPAもそうですが、国民に情報開示がされていないし、そもそも本当に国民の意思のもとで交渉が開始されることになったのか、不満もあります。
今後の交渉のなかでは適切に情報公開がされるだけではなく、まずはわれわれが交渉について何をどう望んでいるかを聞いて、それをもとに交渉してほしい。相手国から要求されたことを現場に納得させようとするのではなく、こちら側の意見を持って日本はこう考える、と交渉すべきだと思います。
◆JAは自分の組織
農協改革については、まず農協は自らの組織だという認識を青年部盟友が持つべきだと思います。 昨年は全農改革が大きな問題になりましたが、これはJAや全農の問題であって自分たちには関係ないんだという気持ちがあるなら、それこそが大きな問題だと思っています。組織の問題ではなく農家、組合員の問題だと認識することが、これから何十年と農業とJAに関わっていき、そこに責任を持つ人間として重要です。
そのためにはJAや連合会はどういう組織であり、どんな事業をやっているのかを、まず私たちが学習する必要がある。JAの組合員は、出資者であり利用者であり経営者でもあるわけですから、利用しやすいJAを作る、また必要と思う組織に変えていくことは、まさに組合員にしかできないことで職員だけではできないと思います。
青年部盟友としてもこれから農業をやっていく以上、JAは自分の組織なんだということを心のど真ん中に置くぐらいの気持ちで考えいくことが大事だと思っています。
同時に今回は全農の役職員とも意見交換をしましたが、現場に出向く体制は大事でTACは非常に評価できます。今まで以上に現場が求めている営農指導、経営指導体制の強化に期待します。さらに経済事業だけではなくすべての全国連の事業が横につながった姿として現場の農業者に示してほしいと思います。
私たちもなぜ組合員になるのか、なぜ総代にならなければいけないのか、さらに理事の重要性なども今後、地域もJAも担っていくものとして認識していかなければなりません。
農業は地域社会に対する貢献にも非常に大きいものがあります。誇りをもって農業や青年部活動をやっていきましょう。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日