JAの活動:農協改革を乗り越えて -農業協同組合に生きる 明日への挑戦―
【インタビュー木下小次郎・日産化学工業(株)社長】地域農業の特色を活かしたビジネスモデルを(前半)2017年11月6日
聞き手・谷口信和東京農大教授
いま日本農業そしてJAの課題は何かを問いながら、これからのJAに望むことなどについて、日産化学工業(株)の木下小次郎社長に忌憚なく語っていただいた。
◆国際紛争の激化と 食料危機は隣合せ
――グローバリゼーションと地球温暖化問題をつないだところに食料の安全保障の問題が存在します。世界はいま政治的にも流動的かつ不安定で、紛争・戦争と常に隣り合わせの状態にあります。そんなときに国家安全保障だけでなく食料安全保障問題を考えなくて良いのかと思いますが...。

グローバリゼーションには光と影があり、最近は影の部分が濃くなってきていると思います。
少し古い話ですが、2011年9月「ウォール街を占拠せよ」に集った若者たちのスローガンは、「We are the 99%」。この言葉が影の現れであり、グローバリゼーションが必ずしも地球全体に幸せをもたらすものではないと感じています。
トランプ氏が大統領選に勝利した原動力となったのは、貧富の格差で一番下に追いやられたラストベルト(錆びた地帯)の人たちの不満の爆発でした。そういう意味でも、光と影の部分をしっかりと見ないと、いま地球全体で抱えている課題が見えにくくなると思います。
―紛争・対立が激化するなかで食料問題をどう考えればいいのでしょうか?
日本の食料自給率が1%下がり38%になりましたが、この1%には大きな意味があり、私たちが食料安全保障について考え直さなければいけない時期にきているといえます。その背景には、グローバリゼーションが進んだ結果としての国際的な紛争があると思います。
世界で紛争が激化し、食料生産に影響がでるような事態にまで発展した場合、自給率が低い日本は食料危機に陥ることは容易に想像できます。
―そうしたことへの対応として日本はどうすれば良いと思いますか?
政府が現在進めている「農業を魅力あるものにする」という国策をスピード感を持って進め、農業生産力を上げることです。しかし、今、将来を見据えてオランダ型スマート農業に舵を大きくきったように見えますが、それにはいくつか気がかりなことがあります。
日本とオランダを農業で比較した場合、オランダの施設園芸の面積は日本の5分の1くらいですが、作付面積は日本の6倍、収穫では7倍と生産性では大きな差があるので、同じ土俵で議論をして良いのかです。とくに気になるのは、オランダは天然ガスが安価で容易に手に入り、燃料コストが低いことが日本とはかなり違います。
日本農業の競争力を高めるには大規模化による効率化・低コスト化は重要ですが、国土の形状・気候や文化の違いを考慮するとオランダと同じような農業に取りくむことは必ずしも正しくはないと考えます。オランダから農業の効率化や低コスト化のノウハウを学び、それを日本にどう活かすかという方向にもっていけば良いと思います。
◆生産性アップなど 地球規模で解決を
―世界で紛争・戦争が激化すると農産物輸入だけの問題だけではなく、原料輸入にも大きな影響を及ぼしますね。
肥料では主原料をほとんど海外に頼っています。最近、検討が進められている下水処理場で発生する焼却灰に含まれるリン分の再資源化などを本格化した方が良いと思いますし、肥料生産の新しい道を開くことになるかもしれません。
そして、世界的には人口が増えますから農業生産を拡大するために、やむを得ず遺伝子組換え作物(GMO)に頼るという流れは簡単には変わらないと思います。そのなかで砂漠化の進行などにより世界の農地が増えないという現実があり、人口増に応えるには生産性を上げるしかありません。
食料不足はローカル、エリアごとの問題ではなく、地球規模の世界的な課題だと捉えていかなければいけません。世界全体としてどう共生するかを考えるのが、本来のグローバリゼーションであったはずです。
◆農業の持続性を 考えるのが課題
―地球温暖化による異常気象などのなかで世界の食料事情はどうなるとお考えですか?
異常気象による収穫量の不安定さ解決のためにGMOへ期待が高まり、世界の大手農薬企業はそこに注力しています。
―御社はどうですか?
確かに異常気象により食料事情が悪化することが懸念されます。当社は種子ビジネスへの参入は考えていませんが、農薬メーカーとして、農作物の収量拡大に寄与することが重要であると捉えています。
―この問題に、どう対応しますか。
今に始まったことではありませんが、既存の剤に耐性をもった草・虫・菌に対する農薬をどう開発するかが最大のテーマです。
さらに今後は、旱魃や塩害、冷害そして高温障害が発生する地域で有用な農薬や肥料の開発が重要な課題だといえます。
―農業の持続性を考えると、大規模化し単作化して効率だけを上げるだけで良いのかという疑問があり、持続性を確保することが実はもっとも効率的だともいえます。
そういう考えに切り替えていかなければいけないと思います。サスティナブル(sustainable)と最近よくいわれますが、農業における持続性を担保するのは何かは、私たち農薬や肥料メーカーにとっても非常に大事な視点です。例えば肥料の場合、完全な化学肥料だけではなく自然由来のものを入れながら、土壌を豊かにする土づくりという考え方もありますし、その土地に合った肥料の撒き方や土づくりがあると思います。
◆なぜ耕作放棄地 まず発生原因を
――日本農業には直面するいくつかの課題があります。まず耕作放棄地問題があり、これを活用した新規参入・就農を促し、新規就農者もすぐに参加できる農産物直売所の拡充・展開が考えられます。そのときに、例えば、飼料用米の地域的な利用を踏まえた6次産業化を含む耕畜連携・地域農業の構築といった展開が重要で、これを総合的に支えるJAによる農業経営ということが考えられると思っていますが、いかがですか?
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